出版社内容情報
【内容紹介】
天外家から逃げだした奇子は、仁朗のもとへ身をよせた。だが、仁朗に暗殺者の手がのびる……。故郷、淀山へ逃げる仁朗。あとを追う奇子。運命の糸にあやつられ、天外一族がいま、一堂に会する!異色大作、堂々完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
312
最期までみんなそれぞれの欲がまみえて洞穴で奇子以外のみんなが死に絶えるのも面白かった。全編通して手塚治虫がこのような作品を残していたというのは驚いた。てっきり鉄腕アトムとか暗くてもアドルフに告ぐ、ブラックジャックくらいだと思っていたが、今の漫画家にない多種多様な作品を漫画界に残していたのだと感じた。2017/01/15
yoshida
119
最終巻。追われる仁朗。山奥の炭の貯蔵穴に集まる天外の兄弟たち。暴かれるそれぞれの罪。崩落した貯蔵穴に閉じ込められる兄弟たち。奇子が笑い始める。そこは奇子が育った土蔵の地下と同じ状況。狂いゆく人々。唯一、生き残った奇子も、その後は行方が知れず。彼等兄弟の母のみが天外の家の良心だったのかも知れない。奇子が子守唄を唄う場面の恐ろしさ。圧倒的なカタルシス。人間の持つ暗部をここまで描いた手塚作品も珍しいと思う。読む年齢によって受ける印象も変わるかも知れない。手塚治虫さんの作品の幅広さに感服した作品。圧倒されました。2017/04/22
tenso_h(堀川てんそ)
9
ああ・・思い出した。手塚治虫のこのやるせない感触。昭和の時代と共に匂い立つように様々なことが脳裏をよぎる。2015/06/06
歩兵
8
淀山の天外家を脱し、東京の仁朗宅に匿われる奇子。マイクロミニ丈のワンピース・スカートを翻し、パンチラも気にせず子どもたちと無邪気に遊びまわる姿や、箱の中、胎児のポーズでうずくまり涙を流す姿。変態垂涎のサービスシーンに心の中でスタンディングオベーション。1万円をばらまいて近所の人に変な顔をされ戸惑う奇子の姿に失われた22年の重さを感じて暗澹たる気持ちに。ラスト、今までの理性的な狂気が生死に直面した動物的な狂気に、奇子を苦しめ続けた人間たちが、同じ苦しみを味わう事で奇子に復讐をされる、という逆転構造が美しい。2013/05/28
hibimoriSitaro
7
どろろみたいな終わり方だなあ。クライマックスはあれでいいけど,その前に奇子が「暗躍」する事件がひとつふたつ欲しかった。意外な人が生きのこったね。電書版は解説も後書きもナシ。他者の解説なら許諾の問題もあろうが手塚さんの後書きが載らないのは何故?2014/09/15
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