内容説明
352機撃墜という大記録を打ち立てた史上最大の撃墜王、エーリッヒ・ハルトマン。たぐいまれな技量と戦術的洗練によってドイツ空軍第52戦闘航空団を牽引したこの超人的パイロットの戦歴は、ダイヤモンド柏葉剣付騎士鉄十字章の受章により最高潮に達する。しかし、敗戦とそれに続くソ連での抑留生活は、英雄ハルトマンにも容赦ない苦難をもたらす…。誇り高き“ブロンドの騎士”の不撓不屈の半生を活写する本格評伝。
目次
英雄の器量
ハルトマンの成長期
戦場にて
重なる戦果
熊の檻からの脱出
黒い悪魔と柏葉付騎士鉄十字章
第五二戦闘航空団のエースたち
名声と剣
スターリンの鷹とその実力
三百機撃墜とダイヤモンド柏葉剣付騎士鉄十字章
三百二機目撃墜
マスタングとの戦い
ドイツ幸福
ソ連のほ俘囚となる
NKVDの手口
戦争犯罪人
シャフティ監獄の反乱
熊の檻からの釈放
新しい門出
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
13
生涯総撃墜数352、紛れもなく歴史上最大の記録を成し遂げたドイツのトップエース、エーリッヒ・ハルトマン。愛妻ウルスラとのロマンス、バルクホルンやロスマンをはじめとする戦友との友情物語など、技術だけでなく精神においてもまさしく現代の騎士と呼ばれるに値する人物であることがその生涯を語った本書からは感じ取れる。戦時中の武勲に限らず、本書の四分の一を占めるソ連虜囚となってからのエピソードの壮絶さと、それに対し折れず、解放後も残された捕虜の身を案じ受かれぬタフさが印象に残る2013/09/27
零水亭
11
空前絶後の超エース、エーリッヒ・ハルトマンの伝記。他の方のレビューにもありますが、戦後のソ連抑留が彼が最も苦しんだところでしょう。夭折した長男を抱くことも出来なかったみたいです。 戦後、空軍に復帰した際、翼面荷重が高く、スピードは出るものの初心者には操縦の難しいF104スターファイターの導入に反対したのはBf109エースの言葉としては意外に思いましたが、若い搭乗員の事故を避けたかったのでしょう。もしかしたら、抱けなかった長男を若い搭乗員と重ね合わせていたのかも知れませんね。
Mikarin
4
太平洋と比べ、出撃回数と撃墜数が桁違いである。やはり海上と違い、地続きの戦場のため、撃墜されても不時着しても自軍戦線内ならすぐ復帰できるのが大きいようだ。 大空のサムライの坂井氏始め日本のパイロットは格闘戦のドッグファイトを好んだが、ハルトマンはひたすら一撃離脱に徹した。日独エースのスタイルの違いがあるが、両者ともに戦果よりも、僚機を失わないことを第一としている所は共通している。 洋の東西問わず、一流のエースは哲学が同じという所か…2017/01/02
はつかねずみ
2
第二次世界大戦においてソ連との戦いで活躍し総撃鎚数での世界記録を為したドイツのエースパイロットの伝記。 子供の頃からのエピソードから戦後の歩みまでが綴られており、特に戦中と戦後ソ連に捕らわれていた間の話が多くを占めていた。 描写の仕方が神聖視を感じるほど「本当にここまで凄いのか?」と思いたくなるくらい持ち上げられているようにも感じられたものの、記録的な部分だけを見ても持ち上げられてもおかしくないよなと思わざるを得ないだけに凄いと言わざるを得ないよなあ。2014/04/23
ビタミン
1
★★★☆☆2014/10/05