内容説明
嶋伝八郎信隆は「殿サマ」と呼ばれる八百石の旗本である。趣味が高じた「本草学」の学者でもあり、料理屋「有明」の名物薬膳も指南している。飄々としていながらも情に脆い殿サマの交友関係は、アサリ売りの少年から薬種屋に江戸城西の丸までと広く、無役なのに忙しい。ある冬の日、薬草探しの河原で、やっと幸せを掴もうという女と知り合うが…。本草の知識で市井から殿中までをお節介する、人情旗本シリーズ第一弾。
著者等紹介
鈴木晴世[スズキハルヨ]
千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、子供服メーカー勤務、歯科助手、塾講師、テレビドラマの企画脚色などを経て、作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nyaboko
4
本草学に詳しい無役旗本の殿様が主人公。のんびり泰然としている殿様で、身体の調子が悪い人に「薬草わけて上げるからウチおいで」と身分を気にせず助けようとするお人好し。でも他人に騙されるとかじゃなくて、等身大な印象で結構好きかも。でも初っ端からいきなり話が重くてビックリした。その後も、のんびりした空気のはずがところどころで重石が降ってくるwww 捕り物ではなく人情ものなので、そういうのが読みたい方におすすめ。話に出てくる薬膳を食べてみたい。2012/10/25
M2
3
本草学者にして人情家の旗本の殿様とはなんとも魅力的なキャラ設定。内容も設定に負けない面白さでした。主人公も脇役もみんないい味だしてるけど、個人的には薬種問屋の若旦那が特にお気に入り。レギュラー化を期待してます。あと、ちょこっと出てきた船頭のお兄さん2人がなにげにかっこよかったです。彼らもぜひ再登場を!2011/01/09
まるなお
2
時代物の料理物。大好きな設定です。主人公も全体的な雰囲気もほのぼの系なのに話の内容は結構シビアでびっくりでした。シリーズみたいなので今後も楽しみです。2015/02/24
公路郎
1
いいね、こういう雰囲気好き。無益の800石の旗本が主人公ですが。刀件は抜きません。脇差しを鞘ごと抜いて使いましたけど。 普段は本草(薬草)をすり下ろして、薬膳に仕立て上げているだけのおっさんと侮るなかれ。泣かせる人じゃありませんか。 ちょっとした機微がイイですよね。2012/10/25
ぶちゃ
0
登場人物が穏やかでいい人ばかりのわりに、切ない話が多かった。主人公がそんな年というわけでもないのに、枯れた印象で爺むさい(笑)。主人公の設定を隠居した爺さんにしたほうがしっくりくるような気もする。2016/02/12