出版社内容情報
吉田松陰の妹にして久坂玄瑞の妻・杉文と楫取素彦。ふたりの青春からすれ違いの末に結ばれるまでを、幕末の動乱を背景に描く。
吉田松陰の妹にして、久坂玄瑞の妻・杉文。元学者で明治以降は政治家として活躍する楫取素彦。互いに惹かれあいながらも別の人間と結婚したふたりの青春から、すれ違いの末に結ばれるまでを、幕末の動乱や松陰の死、長州の人々を絡めながら描く意欲作!
【著者紹介】
1986年生まれ。第18回歴史群像大賞優秀賞を受賞し、『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』で鮮烈にデビュー。長編第2作の『蔦屋』でも高い評価を受ける期待の新星。歴史小説を中心に執筆、演劇の脚本なども手掛ける。
内容説明
吉田松陰によって、出会う前からおたがいの存在を意識したふたり。しかし―小田村伊之助の祝言に現われたのは、文の姉、壽だった。そして、松陰が文の相手に選んだのは、弟子の久坂玄瑞だった。それぞれの気持ちとは裏腹に、義理の兄妹となったふたりは、松陰の死、久坂玄瑞の死を乗り越え、再び惹かれあっていく―幕末~明治の長州で、時代に翻弄されながらも真摯に生き抜いた小田村伊之助と杉文。幕末維新を見守り続けたふたりの愛の物語。
著者等紹介
谷津矢車[ヤツヤグルマ]
1986年生まれ。駒澤大学文学部歴史学科考古学専攻卒。第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そうたそ
36
★★★☆☆ さっくり読めてお手軽な作品ではあるけれど、ちょっと全体的に作りが浅すぎやしないだろうか。今年の大河に便乗したような内容であるが、いまいちこのストーリーの主人公が松蔭の妹・文である必要性が感じられなかった。つまり設定を生かし切れていない浅い恋愛小説に成り下がってしまっているということ。逆にこのくらいの浅さが歴史小説が苦手な読者にとっては、ちょうど入りやすいのかもしれないけれど、それにしても地の分で平気で「ズボン」とか「ドア」とか書いちゃう辺りは流石に歴史小説を読むにあたり興醒めだった。2015/07/28
真理そら
31
吉田松陰の末妹・杉文と小田村伊之助の一種の純愛物語。文の章と伊之助の章が交互に並んで最後にはふたりの章になるという文と伊之助の物語として分かりやすい形式。それなのに一番インパクトあるキャラが伊之助の妻・壽(文の姉)だ。当時としては普通に結婚しただけなのに壽が若干悪役っぽく描かれているのがおもしろい。初恋の相手と中年過ぎてから結ばれたいものかどうか、すこし考えこんでしまった。2019/01/29
だーすべいこ
13
大河ドラマとは、違う演出になっているけど、兄弟関係が細かく描かれていて(特に弟の敏三郎)1年間ドラマが楽しめそうです。2015/01/18
ちゃちゃ丸ママ
11
現NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の主人公、杉文と、後に夫となる小田村伊之助の秘められた想いが成就する。「花燃ゆ」とはまた違った趣のある内容となっていて、読んでみるとこれもまた新鮮な感じで私的には気に入っています。幕末の動乱の中で、久坂玄瑞と文、小田村伊之助と壽(「花燃ゆ」では寿となっています)。二組の夫婦愛、そして、伴侶の死別。文と伊之助は同じ哀しみを持っているからこそ、共に生きる道を選んでいったのだろうと思います。2015/09/02
那由田 忠
9
NHKの「花燃ゆ」と、読んだばかりの『吉田松陰: 「日本」を発見した思想家』ちくま新書と比べると、松陰像が何か軽い。メインテーマでないと言うものの、「花燃ゆ」の世界と違いすぎるので違和感が強かった。特に、松陰の妹である文が少女のころから、小田村伊之助に恋心を抱き(これは全く無理とは思えないものの)伊之助が文に恋心を抱く理由が分からんかった。史実として後に結婚するとは言うものの、そんな昔から互いに思い合ったという設定は無理だろうと思った。という意味で、あまり面白くはなかったということかな。2015/04/09