出版社内容情報
福島原発事故の悲劇と、その後をルポした朝日新聞連載の書籍化第7弾。復興とは程遠い、被災地の現実を追いつ続ける。
福島原発事故の悲劇と、その後をルポした朝日新聞連載の書籍化第7弾。事故から3年以上が経過しても、いまだに次々と現れる知られざる新事実。あのとき、福島では何が起こっていたのか、そして本当の復興はいったいいつ果たされるのか、現地からの生の報告。
【著者紹介】
朝日新聞報道局につくられた調査報道専門の取材チーム。2011年の福島原発事故による放射能汚染の惨劇を受け、検証記事を作製するために、特別編成取材班がつくられた。
内容説明
「村を出るなら死ぬ」飯舘村の最長老102歳が選んだ自殺の衝撃!朝日新聞大反響連載の書籍化第7弾!!
目次
第37章 給食に福島米
第38章 医師、前線へ
第39章 マツバヤ復活
第40章 残ったホーム
第41章 汚染水止めろ
第42章 事故と犯罪
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
288
'13年9月~'14年2月にかけて連載された6つのトピックスを収録。震災後3年近くを経ているので、復興に向けた取り組みが主たるテーマ。個々の人たちは真摯に取り組んでいるのだが、ここでもやはり政府、東電(私がこれまでも非難を繰り返してきたのは、東電の社員に対してではなく、あくまでも経営陣)は相変わらず無責任極まりない態度であり、怒りよりもむしろ情けなくさえなってくる。例えば、農水省の担当者の言―「土壌汚染と作物の汚染は相関関係がない」。また、東電の汚染水に対する遮水壁の最終申請書がA4用紙でわずか3枚など。2016/03/08
美登利
53
このシリーズも7巻まできたのか、初めて1巻を読んだときの衝撃を未だに思い出します。今回は残るしかなかった特養ホームが印象的ですが、当時の混乱と改めて東電の上層部の危機感があまりなかったことが更に被害を広げたことについて、最近はほとんど語られなくなった真実を追求し、公開してゆくことへの本書の役割は大きいと思います。しかし、本当に現場にいた人々が何も知らされなかった、知り得ないまま逃げられなかったことの責任は誰が取ってくれるのだろう。何十年後に様々な症状が出るかもしれないことについての不安が伝わってきます。2014/08/23
壱萬弐仟縁
29
表紙見返し(167頁~をも参照)によると、2011年4月12日、最長老102歳の大久保文雄氏が首つり自殺されたという。これが先進国といえるか、と問われている。巻頭の同心円状は、不安の増幅、放射能の拡張のイメージにも重なる。3・11からの心の傷ではないか。東電への不信感はここでも高まっている(14頁~)。企業の体質なのであろう。20㏃の測定(23頁~)。安倍首相は再稼働、輸出に躍起になっているが、福島の子供たちの実態が克明に記されている本書を熟読して反省するべきだろう。 2014/08/15
D21 レム
24
「給食に福島米」、事故後現地に入った医師たちが危険の中で奮闘した「医師、前線へ」、飯館村にある「残ったホーム」の利用者と、仕事をする職員の話。重たく響く「事故と犯罪」。2016/03/09
みん
10
避難の村の特養ホームに残りたい高齢者、どんどん減っていく職員。自分の仕事と家族の安全を選択しなくてはいけない職員。賠償金も絡んで 心が折れそうになる話を読むと、答えは出ないけれどその場に自分と家族がいたらどういう選択をして生きていけばいいのか悩みます。また情報が下りてこない恐怖と不安。その中で医師として弁護士として店員として様々な職業についている方から見た原発事故。まだまだ後から新たなる真実!として発表されることがあるのでは?ととても不安です。2014/08/26