内容説明
この本は元刑務官や極道など「その道のプロ」の体験記ではなく、20年間サラリーマン生活を送ってきた、ごく平凡な市民の目線で、逮捕から拘留、裁判、服役という「受刑サイクル」をわかりやすく紹介するものです。
目次
第1章 逮捕から被告へ―逮捕で「容疑者」、起訴されて「被告」、判決確定で「受刑者」となる
第2章 東京拘置所
第3章 裁判
第4章 黒羽刑務所
第5章 第一六工場
第6章 仮釈放へ
第7章 出所
著者等紹介
本間龍[ホンマリュウ]
昭和37年生、東京都出身。大学卒業後メーカー勤務を経て大手広告代理店に勤務。平成18年退職後、知人に対する詐欺容疑で逮捕・起訴され、実刑判決を受けて約1年、黒羽刑務所に服役。平成20年10月に仮出所し、21年2月に満期を迎えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
31
「原発プロパガンダ」の著者本間龍が、自らの服役体験を綴った本。逮捕、留置場、取り調べ、拘置所、裁判、刑務所、仮釈放までの一連の流れ。もし逮捕されちゃったらこんな目に合うのかー。検察庁や裁判所の地下にある待機場所の劣悪な環境が恐ろしい。山本譲司の「獄窓記」よりもライトなノリで楽しく?読める。刑務所で雑居房じゃなくて独房(個室)に入る裏ワザも紹介されてます。ただこの本ではそもそも何の罪でこうなったのかがやんわりぼかされてるので他の本も読んでみよっと。2017/12/22
みや
28
実際に詐欺容疑で逮捕されたサラリーマンが受刑サイクルを紹介する実用書。ミステリ小説やニュースで聴く単語の意味や逮捕から出所に至るまでの流れを知りたくて手に取った。部屋の様子や過ごし方など非常に詳細に書かれていて物凄く分かりやすい。刑務所での雑務や工場運営の多くを受刑者が担っていること、高齢者や精神疾患を持つ人が集まる一六工場の様子は特に衝撃的だった。遠距離移送の際、手錠と腰紐を付けて電車や飛行機を乗ることもあるとは驚き。刑務所は罰を受ける場所なのか、社会復帰するための場所なのか、改めて考えさせられた。2020/03/04
hk
22
「拘置所や刑務所で雑居を避けて独居房に居座るコツは…『俺はゲイ』だと言い張ること…」 その手があったか!と思わず膝を叩いた。服役経験のある著者が「逮捕⇒拘留⇒取り調べ⇒起訴⇒保釈請求⇒公判⇒控訴⇒実刑判決⇒受刑⇒仮出所⇒前科者の社会における悪戦苦闘」といったプロセスを実体験に基づいて解説している。「住民票に犯罪歴が残るという伝承は虚妄」「検察の求刑3年は執行猶予のシグナル」「留置所が代用監獄と云われる所以」「拘置所は米10。刑務所は米7:麦3(これは死刑囚の場合どうなるのかな?)」など豆知識が身についた。2018/06/25
ぽてちゅう
11
会社員だった著者の逮捕から留置場→拘置所→刑務所を経て社会復帰した体験と、セーフティーネットと化した刑務所への問題提起を綴った作品。どこか自分の置かれている環境を喜々としているかのような書きっぷりが面白い。暗・狭・密な施設、高齢・障碍受刑者の面倒をみる受刑者、手薄い職業訓練、低すぎる作業報奨金、刑務所の壁より高い再就職の壁。10年以上前の話ですが、今、何がどれだけ変わったのだろうかと考えるのが怖い。2020/08/26
kenitirokikuti
6
図書館にて。ジャーナリストの本間龍氏は知っていたが、00年代後半ごろ、裁判員制度が始まる前にムショに入ってたということは知らなかった。詐欺罪で和解はしたのだが、執行猶予なく実刑を喰らった、と。私には直接の知り合いに逮捕・警察署の留置場に拘留・東京地検で取り調べ・東京拘置所、な人がいるので、そこまでは知識あった。著者は初犯の実刑のため、山本譲司『獄窓記』同様に栃木県黒羽刑務所に入ってそうな。おもしろいのは留置場でスリの人からゲイだと言えば独房に入れると聞きそれを実行したこと。まだ通用するのかしら?2023/01/07