出版社内容情報
お寺という、もっとも死に近い場所に霊が現れる。これは、お寺をあずかるお坊さんにとっては秘話でもある。納骨堂から聞こえる咳払い、亡くなった子どもに似せて作った人形が動きだす、遍路姿の女性が土塀の上を這う……恐ろしくも、哀しく、愛しい13篇。
内容説明
あなたは幽霊を信じますか?僧侶にとって幽霊は、いるかいないかを問題にするような存在でも、まして怖がる存在でもありません。ひたすらに供養すべき対象であり、この現代であってもその原理に変わりはありません。亡くなった少年に似せた人形が動きだし哀しみの声をあげる、銀行の貸金庫から老女の手が這い出る、土塀の上を遍路姿の女性が這う…。怖い―けれども幽霊現象という非日常的な世界をまっすぐに見据えたとき、そこには人間のもつ限りない悲しみと怖さと、温かさが、逆に、くっきりと浮かび上がってくるのがわかります。本書は何百、何千とある現代の寺院の幽霊供養談から13の実話を精選したものです。
目次
魂が宿った人形
貸金庫の保管物
納骨堂の来訪者
封印された怨霊
憑依された青年
リゾート古民家
大阪、一心寺にて
死を刻む腕時計
四国遍路の果て
葬儀ビデオ鑑賞
首吊り松の祟り
丑の刻参りの女
霊が棲む寺での対話
著者等紹介
高田寅彦[タカダトラヒコ]
1954年大阪生まれ。ノンフィクションライター。埼玉県在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラルル
8
怪談として十分なインパクトのある話が掲載されていますが、読後がとても良いというか…怪談本なのに読んだ後優しい気持ちになれる本でした。良いです、こういうの好きです。2012/07/28
かなっち
3
夏なので、怖いのが読みたくて手に取りました。怪談というよりも生き方などを問われるような、考えさせられるお話が多くて…。改めて、悪いことはしちゃダメだと思いました。2017/08/05
ゆかるりら
2
ただ怖がらせる為の階段と違って興味深く読めました。何度か涙したお話も。幽霊とか因果って真剣に信じてる訳ではないけど、やっぱりいるのかなって思った。2013/09/05
粉っしー
1
久しぶりに再読。とにかく一話目の人形の話が強烈で、他はあんま印象になかったけど、呪われたリゾート古民家、丑の刻参り、死者へ輪廻転生の有無を訪ねる話など、中々多彩で面白かった。ともかく実話系を貫いている怖い本は好きだ。2023/09/03
粉っしー
1
再読。一話目の人形の話がハイライト。これも殿堂入り。うおーん2019/09/02