出版社内容情報
日本の桜の8割を占めるソメイヨシノはすべて1本の桜から生まれた同一種であり、あと数年でいっせいにその寿命が尽きてしまう。そのことを知らない日本人に警鐘をならし、これを防ぐ方法を考察する桜を誰よりも愛する人のための読み物。
内容説明
日本から桜が消える!?もうすぐ、終戦直後に植えられた桜が、いっせいに寿命を迎えます。5日間の溺愛と、360日間の無視。サクラほど不憫な花はない。
目次
第1章 ソメイヨシノ的なる国(悪夢のシナリオ;クローンザクラ ほか)
第2章 はやすぎる生長、はやすぎる死(ソメイヨシノの出生説;親探しが不可能な理由 ほか)
第3章 日本人とサクラ史(新旧の祖先の怨念;サクラの語源 ほか)
第4章 サクラの植物学(花散ってはじまる;サクラ前線の謎 ほか)
第5章 サクラに愛を込めて(サクラをめぐる物語;日本三大巨桜 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わった
14
序盤はソメイヨシノに対する批判が多く、さらにソメイヨシノと関連付けて富国強兵、戦争や似たり寄ったりの若者にまで批判が及びます。なんだこのディスリ本…と、桜のことを知れると思って手に取ったのにテンションただ下がりです桜の科学的な部分に関しては~だという、~らしいという言い回しばかり。図や写真があったらいいのになと思いました。さらにあとがきの、ソメイヨシノが好きだという一文にビックリ。ここまで批判しておいて好きなの?驚きしかありません。歴史上の人々が愛した桜は山桜だという事が知れたのが唯一の収穫ですかね…。2016/05/16
ほじゅどー
13
★★★日本の桜の八割を占める染井吉野。交配によって子孫が増える山桜と異なり、接ぎ木で増えるクローン植物。その寿命が間も無く尽きる可能性がある。一瞬にして群れとなって我々を覆い尽くすその非日常的な光景。クローンであるが故の均一なイメージ。空間も時間も超えて常に同じイメージを固持する。日本人が好む、切なく儚いイメージを持つ花。散り際が潔い染井吉野を軍国の花として死の美学を植え付けた軍部。日本人がある一つの感情にたやすく染まりやすい性向を持っていることによるのかも知れない。島国で村社会の日本の花。2015/10/17
miho
8
桜といえばソメイヨシノ、そのソメイヨシノがエドヒガシとオオシマザクラを交配させてできた木のクローンだということは知っていたが、明治維新以降、古人の愛したヤマザクラからなぜ突然ソメイヨシノが日本中に広まったのか、どのように運命共同体のように歩んできたのか、初めて知ることばかりでとても興味深かった。最近はその寿命とともに代替種にとってかわられつつあるようだが、私はやっぱりソメイヨシノが好きだなあ。クローンゆえの狂おしい咲きっぷり、桜の木の下には屍体が埋まっていると思わせるのはやはりソメイヨシノなんだろう。2019/04/16
ぼたん
1
ソメイヨシノは、クローン桜でただ今危機に瀕している…と、言う内容。ソメイヨシノが一般的になったのは近世以降のこと。ソメイヨシノは、生長が早く寿命が短い。更に土地の養分を吸い尽くし病気の元まで作るので新しい桜を植えるのは困難。現代日本人だからこそソメイヨシノが咲いたときに非日常として無礼講になる。あとがきを読むまで著者は、ソメイヨシノが好きじゃないと思ってました(笑)2013/03/25
のち
1
春の風物詩である桜、特にソメイヨシノについて多く書かれている本。かといって、理系な内容ではなく、読み物としてサクサクと楽しめる。 それにしても、知らないことだらけで驚いた。10年程前発行の本書内で、数年内での桜の寿命が声高に叫ばれていたが…その対応はなされたのだろうか? 今年の花見はひと味違った視点から楽しめそうだ。2012/03/30