内容説明
北九州市自分史文学賞大賞受賞作「遠い山なみをもとめて」。8歳の時、若い男と家出した母親。すでに母を許していると思い込んでいた主人公が、長い長い間のわだかまりから心の奥底では激しく母を憎んでいることに気付く。そしてある出合いと心の苦悩のすえに次第に母を許していく―。母、父、弟と「家」をリアルに描いた自分史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mi no
1
作者が成長の過程で置いてきてしまったものにようやく気づいていき、自分も母も許し、心が軽くなるようなお話。 26にもなって自立が遅れている自分、精神病を繰り返す根本にあると思う「母との関係」について何か参考になるかもと思い読んでみた。 “憎んでいたのに、人を憎むのは悪いことだという抑制が先に立ち、自分の憎悪から目をそむけていた。根本のところで自分を欺いていたから、母を思い出すと苛々した。” “憎むのは正しくないという物差しを持っているから認められなかった。〜自分は正しい人間だと思いたかったのだから。” 2022/12/18
ヒルママ
1
母との関係 誰にでも思い当たる節があります。 大人になってから症状が出て来ても、何の不思議も無いのです。心のモヤモヤを整理してくれた本でした。2022/11/16