内容説明
お茶でもいかがとコニーのさそい、毒入りなのねとメリキャット…不気味な唄声が暗示する惨事の影。閉ざされた館に高まりゆく愛と死と狂気。モダン・ゴシックの女王の最高傑作、本邦初訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
miroku
26
狂気がテーマなのに、この作品は温かい。いくつかの疑問は放置されたままだが、語り尽くさぬことによる余韻が、この作品の印象を深くする。2014/05/14
メイ&まー
18
姉のコンスタンスと伯父と猫のジョナスと、立派なお屋敷で幸せに暮らしているメリキャット。たまに食糧と図書館の本を調達に町に出る以外は、広大な庭や林を含めた彼女の「城」から出ることはない。ホラーという先入観で、メリキャットや彼女たちは実は…とか穿った見方をしてみたりもするが、そうじゃない。破綻の日を迎えたそのあとは更にがっちりと錠前を下ろした彼女の城。これからも彼女は姉と一緒にすこぶる幸せに暮らしていくにちがいない。誰にもそれを哀しむ権利なんかない。2015/03/31
アカツキ
12
メアリーは引きこもりの優しい姉コンスタンスと認知症の伯父とともに館に住んでおり、二人の代わりに定期的に村へ買い物に出かけ、その度に村人や子供たちから悪意をぶつけられていた。それでもメアリーは幸せだった。しかし、従兄のチャールズが館にやってきて…。6年前の一族毒殺事件で生き残った三人。状況から犯人はコンスタンスとみられていたが、実は…そして、伯父から衝撃の言葉が。ぞっとしつつも、狂気がこれほど優しく書かれたことがあるかなと思った。壊されかけた小さな世界は守られ、再び幸せがもたらされた。2019/12/21
kinka
11
こういう世の中全部呪ってやりたいと思いつめる余り、寝床で妄想に耽ったり、おまじないや魔法に凝ったりする女の子の話を読むと、自分が(曲がりなりにも)女の子だった頃を強制的に思い出させられて未だに胸がきしむ。大抵は、色々悟ったり折り合いつけて大人になっていくんだけれど、彼女の場合はそうじゃない。「これがあたしの幸せだ」と言うのだ。病んでいるのは分かっていても、昔「あなたはそれでいいんだよ」と言ってくれる人がいたら、この本に出会っていたら、もうちょっと楽だったかなあとは思った。ホラーミステリとしても面白い本。2016/06/15
しかちょう
10
#シャーリイ・ジャクスン #山下義之 #ずっとお城で暮らしてる #学研ホラーノベルズ #読了 ヒ素入り砂糖で家族が殺され 生き残り3人 妹は村に買い出しに 犯人と疑われた姉は引きこもり家事や伯父の介護 伯父は後遺症で歩けない そんなお屋敷に金目当てのクズ男が来た ホラーじゃないけどおもしろい2025/02/23