出版社内容情報
自宅の屋根に寝転がるのが好きな中学1年生の工藤皓(こう)。皓は夏のある日、祖父の弟子でもある大工の村田さん、そして村田さんの元へ通う小学校の時の同級生、一樹と出会い、人との関係や人生を見つめなおす。第29回小川未明文学賞大賞作品。
内容説明
自宅の屋根に寝ころがるのが好きな皓。中学生になったばかりの夏のある日、祖父の弟子でもある大工の村田さん、そして村田さんの元へ通う小学校の時の同級生、一樹と出会う。最初は一樹が苦手な皓だったが…。ふとした日常の延長から、人との関係や人生を見つめなおす物語。第29回小川未明文学賞大賞作品。
著者等紹介
かみやとしこ[カミヤトシコ]
日本児童文学者協会会員。中部児童文学会会員。安城童話の会会員。『屋根に上る』で第二十九回小川未明文学賞大賞を受賞
かわいちひろ[カワイチヒロ]
人の表情やしぐさ、老若男女と住処の関係性をテーマにイラストや漫画を制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
63
中学生、意地っ張りなやせ我慢と、我慢しきれない人恋しさが同居して一番モヤモヤする年齢かもしれない。納得しているけれどままならない日常を「屋根に登る」という特効薬で癒してきた少年。必須アイテムの祖父手作りの木組みの梯子の修理をきっかけに始まるひと夏の祖父を慕う老大工や疎遠だった小学校時代の同級生との「大工仕事」交流。静かに見守る大人の存在は希望であり気づきとして、老大工の境遇や同級生の抱える悩みと共に過剰に騒がれない変わりに主人公を通して読者の心にいつか思い出す「生き方の種」としてそっと置かれるだろう。良書2022/08/27
れっつ
41
タイトルのイメージとYAっぽい装画に惹かれ手に取った。予想通り清々しく素直な文体で、希望の見えるラストも良かった。中1の少年の、等身大の気持ちの機微や、戸惑いながらも友達を思い、勇気を出して前へ進もうとする姿を瑞々しく描いている。家と学校と勉強、少年のそんな限られた日常が、大工のおじさんとの出会いにより過去にも未来にも広がりをみせる様子は、これからいろんなことを経験し悩みながら成長していくであろう10代にピッタリだと思う。見返しの、最初と最後の変化も微笑ましく心和む。第29回小川未明文学賞大賞受賞作。2022/01/15
Comit
39
市立図書~別々の中学に進学した二人の同級生が、一人の職人との出会いをきっかけに再会し、人との関わ方、これからの人生を考え始める友情と成長の物語。抱える悩みは人それぞれ、聞いて欲しい、支えて欲しい時に居てくれる友の存在は大きい。児童文学ですが、子どもも大人もそれぞれの立場で考えさせられる作品です。あなたは子ども達にとって見本となれる大人ですかと問われている気がします。【第29回小川未明文学賞大賞作品】2023/03/01
Roko
35
中学校1年生って、まだ子供っぽいところもあるけれど、少しずついろんなことを考え出す年頃です。将来どんな仕事をしたいとか、家族との関係も大人と子供から、少しずつ大人と大人の関係に近づいていきます。自分の考えを誰かに伝えたいけど、まだ表現力や言葉が足りなくて、伝えられないことが色々とあるんです。村田さんのおかげで、少しずつそういうことがわかってきた皓と一樹は、きっといい友達になっていくのでしょうね。こういう夏休みの思い出は、一生の思い出になるんだろうなぁ。2022/08/27
ゆるり
20
小川未明文学賞。中1の男の子2人の友情と、それを見守るおじいちゃん大工のお話。 皓は遠くの私学に通う少し孤独な子。一樹は明るいが家庭に問題を抱えている。小学校の同級生の2人は、大工の村田さんの家で出会い、友情を育んでゆく。友達が困っている時、何が出来るか?出来ることは無くとも、話を聞くことはできる。皓は自分のとっておきの場所(屋根の上)で、一樹と話をしたり、景色を眺めたりした。一樹の心が少しでも軽くなればいいと思いながら。村田さんの生い立ちを聞いたり、人との関わりや人生を見つめ直す課外授業。2024/11/27