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出版社内容情報
「わたしを連れてってくれませんか。誰もいない、どこか遠くへ」
何かを「願う」ことにトラウマを抱える修也へそう願ったのは、緑色に輝いて、人気youtuberでーーそして、AIの少女・愛岳ユウ。
「逃げ出してきた」と言う彼女に押される形で始まった、夏の逃避行。仄甘い共犯者と駆け抜ける夏は、全てがどうでも良くなるくらい、美しくて。その日々が、修也の心の傷を優しく縫い合わせていく。
しかしある時、ユウが修也の元を訪れた本当の目的を知りーー
「それでも僕は、ユウと一緒にいたいよ」
だから、このことばを捧ぐ
たった一ヶ月しかなかった、間違いだらけのあの夏に。
【目次】
内容説明
「わたしを連れてってくれませんか。誰もいない、どこか遠くへ」何かを『願う』ことにトラウマを抱える修也の前に現れたのは、人気YouTuber・愛岳ユウ。彼女は実体がない―AIの少女だった。「逃げ出してきた」と語る彼女に押されるがまま始まった、夏の逃避行。仄甘い共犯者と駆け抜ける夏は、熱く焦がれるほど美しくて。その日々が、修也の心の傷を優しく縫い合わせていく。しかし、ユウが修也の元を訪れた目的が、人類の破滅だと知り―「それでも僕は、ユウと一緒に―」だから、このことばを捧ぐ。たった一ヶ月しかなかった、間違いだらけのあの夏に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
何かを「願う」ことにトラウマを抱える修也がAIの少女・愛岳ユウと出会い、逃げ出してきたと言う彼女と逃避行を繰り広げるひと夏の青春小説。愛してくれた両親、優しくしてくれた養い親を不幸のどん底に突き落としてしまい、願うことを止めてしまった修也。そんな彼が追われるユウと共に仄甘い共犯者として逃げる中で知ってゆく、ユウが修也の元を訪れた本当の目的。ユウの開発者である有栖も絡めながら、彼女を何とか残そうと奔走する修也の切なる願いがあって、諦めない彼が最後に取り戻したかけがえのないその結末がとても素敵な物語でしたね。2025/08/09
れっちん
11
心に深い傷を抱える男の子『修也』と、AIの少女『愛岳ユウ』。 人間とAIが心の願い、願う、そして心を繋ぐ――そういうことばを全部ひっくるめて、本当に美しい作品だった。 【あの夏に捧ぐ逢いことば】 読了後に、このことばを改めて感じさせられた。 余韻がすごい。静かに沁みて、力を残していく。 心に残る一冊。 様々な美しさが、ずっと胸に残り続ける。 そんな素敵な物語でした。 2025/09/10
サキイカスルメ
9
わぁーーー、好きだ!!AIの少女ユウとの行き当たりばったりな逃避行が面白い。そこから、主人公の生きるには致命的なトラウマへ向き合っていく展開もよかった。子どもなら何とかなっても、成長するにつれてどうにもならなくなることは目に見えてるから彼も絶望していたわけですし。途中で登場したユウの開発者アリス、彼女の動機も興味深かったです。人間とは、AIとは、願いとは、少年少女が悩みぶつかりながら見つけてがむしゃらに走り出す終盤もとても素敵でした。後読感の良さ、爽やかで優しいイラストも作品にピッタリで大満足!2025/08/12
真白優樹
9
過去の苦い経験から願う事を止めた少年が、AIの少女の逃避行に巻き込まれ始まる物語。―――当てもない旅の中、そこで見つける生きる意味。 少女と対話しつつ逃避行する中、彼女の正体が少しずつ判明していく中で彼女を求め手を伸ばすお話であり、探求と欲求の果て、確かに救いのある結末が待っている、前作よりもハッピーエンドが待っている物語である。約束した明日の続きに踏み出していく、また皆で。その先に待っている未来はまだ未確定だけど。それでもきっと、幸せに満ちているのだろう。 うん、面白かった。2025/08/10
椎名
7
前作が好きだったため作者買い。すっごく良かった。AIの少女とのひと夏の逃避行。オタクが拗らせがちな存在しない記憶の“あの夏”に囚われている人向けでもあり、設定からチープさを感じて少し積んでしまっていたが、AIという設定も非常に上手く使われていて、壮大な目的とは裏腹にしっかり手の届く範囲でやることをやってくれていて纏まりが良い。完成度の高い一冊。「僕はただの、エゴイストだよ」。人間は結局全員これを言えるようになるまで、だと思っている個人的思想にも直撃したというのもある。2025/09/10