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出版社内容情報
「彼の者の名を『花矢』と言う」
季節は、如何にして齎されるのか?
その問いに人の子らはこう答える。
「四季の代行者」が神々より賜りし権能で春夏秋冬を大地に巡らせるからだと。
では朝と夜は? 同じく人は告げる。
「巫の射手」が空に矢を放ち、その矢が朝と夜の天蓋を切り裂くのだと。
黎明二十年、島国『大和』の北端に位置する大地エニシに一人の少女がいた。
姓に神職を冠す巫覡の一族の末裔、代行者と同じく神の御業を担う者。大和に朝を齎す「暁の射手」その人だ。
少女花矢は今日も民に紛れ学舎に通う。
傍に美貌の青年を従える彼女が、大和にただ一人の『朝』だとは誰も知らない。
花矢と弓弦。少女神と青年従者の物語は、いま此処から始まる。
内容説明
「彼の者の名を『花矢』と言う」季節は、如何にして齎されるのか?その問いに人の子らはこう答える。「四季の代行者」が神々より賜りし権能で春夏秋冬を大地に巡らせるからだと。では朝と夜は?同じく人は告げる。「巫の射手」が空に矢を放ち、その矢が朝と夜の天蓋を切り裂くのだと。黎明二十年、島国『大和』の北端に位置する大地エニシに一人の少女がいた。姓に神職を冠す巫覡の一族の末裔、代行者と同じく神の御業を担う者。大和に朝を齎す「暁の射手」その人だ。少女花矢は今日も民に紛れ学舎に通う。傍に美貌の青年を従える彼女が、大和にただ一人の『朝』だとは誰も知らない。花矢と弓弦。少女神と青年従者の物語は、いま此処から始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
49
島国『大和』北端の大地エニシで空に矢を放ち、夜の天蓋を切り裂く暁の射手の少女・巫覡花矢。密かに高校にも通う彼女と傍らに寄り添う守り人・巫覡弓弦の物語。花矢に守り人の後継者として指名され、守り人として彼女のために心を砕いてきた父の後を継いだ弓弦。運命とすら感じていた弓弦を縛り付けているのではと憂慮する花矢のすれ違い。そして心が通じあえた思いかけた矢先の暗転。それぞれの主従のあり方があって、神である花矢もまた一人の少女で、慧剣の変貌ぶりにも驚かされましたけど、大切なものを取り戻してみせたその結末は見事でした。2023/01/07
るぴん
45
朝を齎す現人神「暁の射手」である巫覡花矢と守り人弓弦の物語。主従の年齢も近く、お互いを密かに想い合っているのがわかるので、今までで一番恋愛色が濃厚だったな。北の地エニシでの神事は現人神達の中では一番過酷かも。冬は極寒の中、たとえ吹雪でも毎日朝を齎さねばならない。だからこそ普通の女子高生としての生活を送りたいという花矢の気持ちもわかる。花矢の両親が今まで出てきた大人達の中では一番まともな人達で、娘を愛しているのがわかって凄く安心した。地滑りが起きてからの展開は、涙無しには読めない。秋の撫子様はいつでも癒し。2023/03/06
星野流人
44
夏の事件で四季との繋がりを得た、朝をもたらす暁の射手が主人公。神の力を持ちながらも平穏に暮らしていた主従が突然の悲劇に見舞われ、深い絶望の淵から這い上がる疾走感はものすごい読書体験でした。愛する人を救うためとはいえ、その手段をとるのは果たして正しいのか? という理性的な疑問はありながらも、それでも貫きたい花矢の強い想いに心を打たれます。とにかく濁流のように暴れまわる感情の嵐が、改めてこの作品の魅力だなと再認識。なんだかんだありつつ、最終的に花矢の両親のほのぼのオチがいちばん気に入っているかもしれません2023/05/06
えすてい
37
現時点での全5巻を読み切った。長かった。時間軸では黎明21年の正月まで飛ぶ。春夏が上下2巻ずつ続き秋になるかと思ったら巫の射手、ことに暁の射手を中心に据えた物語が入る。女子高生射手花矢の大人になっていくための通過儀礼とも感じ取れた。あの終盤での仕打ちは決して「罰」ではなく少女から大人になるための痛みでもある。そして何よりも信頼する相手弓弦の存在。ただひたむきに花矢を慕う弓弦の、特に挿絵は、花矢だけでなく読者にも救いを示唆する。あとがきで「物語の帳が下りる」とあるが今後一気に秋冬のクライマックスになるのか?2023/04/07
starly
37
これは暁の射手と従者の物語。四季の代行者もちらっと登場するが主な焦点は射手と従者。少年口調である射手、花矢。神であると同時にまだ皆と変わらない学生であるという事。神と学生とでの葛藤がある。新たに登場した2人だけど魅力的な2人だった。黄昏の射手達とはまた違う2人の想い合う関係。2023/02/08