出版社内容情報
「七月くらいにいなくなるわ」
十七歳の春。海外への留学が決まったという三年生のエース・川木の一言が、平凡な都立高校テニス部にさざ波を立てる。絶対的な才能を持つ彼に対し、抱えていても言い出せなかった仲間達の劣等感、葛藤、嫉妬、恋慕……。そして部を去ることを決めた、川木自身の本音。積み重なった様々な想いは、やがて最後の夏を前に連鎖的に爆発していく。高校三年生の等身大を鮮やかに描き出した青春群像。
内容説明
「七月くらいにいなくなるわ」十七歳の春。海外への留学が決まったという三年生のエース・川木の一言が、平凡な都立高校テニス部にさざ波を立てる。絶対的な才能を持つ彼に対し、抱えていても言い出せなかった仲間達の劣等感、葛藤、嫉妬、恋慕…。そして部を去ることを決めた、川木自身の本音。積み重なった様々な想いは、やがて最後の夏を前に連鎖的に爆発していく。高校三年生の等身大を鮮やかに描き出した青春群像。
著者等紹介
天沢夏月[アマサワナツキ]
1990年生まれ。「サマー・ランサー」にて第19回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
38
十七歳の春。突如明かされた三年生のエース川木の渡米が平凡な都立高校テニス部に引き起こした波紋。絶対的な才能を持つ彼に対し、なかなか言い出せなかった仲間達の様々な想いが明らかになってゆく青春群像劇。突如明かされた途中で退学も厭わない決意表明に、ダブルスの相棒、女子部のエース、ゆるい部員、幼馴染のマネージャー、部長たちそれぞれの視点から彼への複雑な想いが綴られてゆく展開でしたが、関わってきた川木にもまたいろいろ思うところがあって、そんな連鎖的に明らかになってゆく等身大の熱い想いがなかなかぐっと来る物語でした。2020/10/23
タカギ
28
毒にも薬にもならない話だな、というのが半ばまでの印象だった。超高校級テニスプレイヤー・川木と彼を囲む高校生たちの話。川木の周囲の高校生5人の一人称で、連作形式。彼らは川木の才能に接したことで影響され、卒業を待たずに渡米することを知って動揺している。川木の影響力は私には何となく不快だった。5人の語り手たちと同じように胸をもやもやさせられる。いつの間にか毒にも薬にもならない話ではなくなっている。5人の中でも浅井と山本は偉い。私なら「川木は別物」と諦めてしまう。小・中学生に薦めたい。2020/11/07
稲荷
22
よかった。表紙からもなんとなく伝わるけど、本当に青春という感じの内容。高校三年生で、まだ大人ではないけど子供とも違うような微妙な時期だからこその悩みに共感できた。また、どの登場人物にもきちんとストーリーがあって深みがあった。2020/11/12
ツバサ
17
高校3年生という部活の集大成のときにチームの大黒柱である川木が海外留学に行くことを発表することによって、近くにいた少年少女の揺れる心境を描いていく青春群像劇。どの子の気持ちも分かるし、共感しかない。身近にいた頼りにしていた存在が急になくなるというのは辛い。だけど川木が旅立とうとした理由や部活を想っている気持ちも本物なんだ。 2020/10/29
ゆき
5
爽やかなだけではない青春。いつもすぐ近くにいた友人が活躍し、遠い世界に行ってしまうことになった時、喜んだり応援する前にやってくる感情が痛いほど響いてきた。嫉妬や取り残されるような寂しさなど、初めはポジティブな気持ちではなくても高校生たちがその思いを昇華させて一つ成長していくところは清々しい。2020/12/28