内容説明
羅針盤(磁気コンパス)の起源は謎に満ちている。中国で占いの道具として使われていた磁石がヨーロッパに伝わり、やがて13世紀のイタリアで航海用のコンパスが完成したという。が、本当の発祥の地は中国か、それともイタリアなのか?羅針盤が登場するまえは、船はどうやって航海していたのか?莫大な資料をもとに、数学者でベストセラー作家のアクゼルが自ら探偵役となり、神秘的な力を持つ羅針盤の奥深い謎をひも解いていく…。航海、通商、世界経済を変えた世界三大発明のひとつ、羅針盤に秘められた驚くべき物語。
目次
幻の発明者
海と空の手引き
羅針盤に魅せられた詩人たち
古代エトルリアのシャンデリアが導くもの
羅針盤の発祥地アマルフィ
発明六〇〇周年に現われた亡霊
鉄の魚、天然磁石の海亀
海の支配者
マルコ・ポーロの旅
海図による貿易拡大
航海革命
羅針盤の真の姿とは?
著者等紹介
アクゼル,アミール・D.[アクゼル,アミールD.][Aczel,Amir D.]
カリフォルニア大学バークレー校にて数学を専攻。オレゴン大学で統計学の博士号を取得。ベントレー大学統計学助教授。『天才数学者たちが挑んだ最大の難問』(早川書房)など、数学やポピュラー・サイエンスをテーマにした本を数多く発表し、高い評価を得ている
鈴木主税[スズキチカラ]
翻訳家。翻訳グループ「牧人舎」主宰
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あなほりふくろう
17
引用に代える。「優れた発明品は、長い間顧みられずに放置されたり副次的な目的に使用されたりしたあとで、突如として余人とは異なる人々に発見され、その特性を充分に活用されることがある。その場合、その発明によって我々の生活がすっかり変わってしまうこともあるのだ」古代中国で占いの道具として作られ、12世紀イタリアはアマルフィでその完成をみた羅針盤。そして大航海時代でのその利用のされ方とそれまでとは違った航海術。あっさりなボリュームではあったがその分スッキリして面白い読み物であった。2014/01/24
やっさん
14
羅針盤(というか磁気コンパス)が中世ヴェネツィアで生まれたとする俗説を否定し、紀元一世紀前後に中国で生まれたとする本。中国では船で外洋に出る用途があまりなく、船上でコンパス(→羅針盤)を使うニーズがなかったとは。「アーセナル」(兵器庫)の語源とか、「7つの海」とはヴェネツィア近辺のラグーンのことであったとか(プリニウス)マーク・トウェインは「水深二尋」をさすペンネームであったとかトリビアが色々。2019/05/08
ut_ken
1
意外だったのは、長らく磁気コンパスが無くても夜空の星などを見えれば方位が分かったので大して困ってなくて、磁気コンパス導入の最初のメリットは、天候が悪く夜空が見えないことの多かった冬でも航海出来る様になったということ。2013/11/04
kamekiti-tv
1
羅針盤の歴史は航海の歴史。著者が船育ちということもあってか、船に乗る者の心を上手にくすぐってくれる。2011/07/19
yanapong
1
世界三大発明の一つである羅針盤についての歴史概説。すぐに読み終わる。2011/01/10