内容説明
交通事故で視覚障害を負い、肉親や恋人の顔さえも記憶することができなくなったジョー。彼は森のなかで、一日に三度姿を変える獣を見たと主張する。人々は妄想にすぎないと一笑に付すが、ある日、ジョーは突然森へ姿を消してしまった…文明から離れ、自然とともに生きる彼に何が起きたのか?表題作「神の創り忘れた獣」をはじめ、全米ベストセラー作家が自然への畏怖と憧憬をあますところなく描いた傑作中篇集。
著者等紹介
ハリスン,ジム[ハリスン,ジム][Harrison,Jim]
1971年にWolfでデビューして以来、話題作を次々と発表、メルヴィルやフォークナーに匹敵する作家として高い評価をうけている。彼の作品は世界22カ国で出版され、ベストセラーとなっている。ミシガン州在住
金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学社会学部教授・翻訳家
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感想・レビュー
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tom
8
少し前に読んだ金原さんが自著のエッセイの中で紹介していた本。ドキドキしながら訳したと書いていたから借りてきた。なるほど、金原さんは、こういう物語に心ときめかすのだなと理解した。昨日、金原さんの翻訳本を一冊借りてきたのだけど、この本に入り込むことができなければ、金原さんを卒業することになるかも。2015/11/10
mikamika
1
掘り出しものでした。3篇の中編。 「神の創り忘れたビースト」バイク事故の後遺症から記憶に障害を持ったジョーは野性児のような生活をしている。その保護者的な立場の老人ジョーは老い先短い自分の人生を卑屈に思いながらもジョーに憧れのような感情を持つ。 「西への旅」先住民ブラウンドッグが盗まれたクマの皮を取り戻しにLAへやってくるのだが・・。 「スペインへ行くのを忘れていた」伝記作家としてそこそこの成功を収めた男が機内誌の記事を読み、わずか9日で破局した結婚をした30年前を思い出し・・。2015/04/18
ハルトライ
1
文体で読ませる本だった。逆に言うと、ストーリー自体は大したことが全く起こらない話でもあるのだが、しかし収録されている三編とも、共通のモチーフ等がありながらも、微妙に作風が変わっていて面白い。意識の流れや、村上春樹的なウンチクをバンバン入れまくるところとか、様々な技巧に凝っている。2013/03/17
yooou
0
☆☆☆☆☆2005/11/19