内容説明
母親を知らず、父親も幼くして亡くし、冷たい伯母に厄介者として育てられたアレン・チョイス。彼は孤独を心に秘めたままボディガードとなった。ある夜、アレンの元に恋人のリンダから電話がかかってきた。弟のヘクターが車ごと谷底に落ちて死んだという。車には麻薬の原料が大量に積んであった。警察は事故死と断定したが、事故状況からリンダは弟が何かの事件に巻き込まれたのではないかと感じ、真相究明のためアレンに助けを求める。やがてヘクターが、若者たちの集まるレイヴで純度の高い麻薬をさばいていたという事実が明らかになる。だがある晩を境に突然姿を消したという。さらに事故の直前、幼いときに家族を捨てた父親をヘクターが探しだし、再会を果たしていたことも判明した。アレンとリンダは父親の行方を追うとともに、ヘクターの死との関連性を探るが…狂乱のレイヴに揺れる死の影。拭いきれない血のつながり。すべてが収斂していく先にある衝撃の真実とは。
著者等紹介
チャン,レナード[チャン,レナード][Chang,Leonard]
ニューヨーク生まれの韓国系アメリカ人作家。二作の文芸作品を世に送り出した後、自身と同じ韓国系アメリカ人が主人公のミステリ、アレン・チョイス・シリーズを書き始める。現在はサンフランシスコに住み、シリーズ三作目を執筆中
三川基好[ミカワキヨシ]
1950年、東京生まれ。早稲田大学文学部教授。翻訳家
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感想・レビュー
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みやび
8
二作目から読んでしまった。どうやら主人公はこどもの頃に両親を亡くし、冷たい伯母に育てられたため、変わらぬ愛を求めすぎ、重すぎて恋人に去られそう。恋人のそばにいたくて、彼女の弟が死んだ原因を一緒に調べるのに、何をしても裏目裏目で…あわれでした。巻き込まれてるだけなのでハードボイルドと呼ぶのは違う気がします。面白かったは面白かったです。2025/04/06
夜キチ
1
これほど自然に感情移入できる語り手は本当に久しぶりだ。2012/12/03
hikarunoir
0
表層的なストイシズムに潜む、根本的な血への不信。疑惑に見事に応える現実からの残酷な仕打ちは前作から一貫している。2012/03/21
のちおちゃん
0
☆2009/12/16
いそぴ
0
他人とうまく付き合えない主人公にやっと恋人ができてホッとしていたのに、もう別れ話?リンダ、ちゃんと色々教えてやれよ!と、怒りながら読了。登場人物皆が抱える内面的な問題によるギクシャクがミステリー部分と等価値に扱われていて、ハードな内容とナイーブな主人公の対比がこのシリーズの魅力ですね。もっと読まれて良い作家だと思います。2020/07/10