内容説明
ニュージーランドのファンガラの地で、一人の少女が生まれた―その名はカフ。クジラ乗りの先祖をもち、代々男を長としてきたマオリの一族に、初めて娘が授けられたのだ。しかし跡継ぎを切望していた、長である祖父は、カフをどうしても受け入れられない。頼もしく優しい祖母や叔父、そしてニュージーランドの自然に囲まれ成長するカフ。やがて彼女に不思議な力が備わっていることに、二人は気づく。一方、頑な祖父は跡取りの男の子を探し続けるが、上手くゆかない。そんな時、いつもそばには笑顔のカフがいた―。そして運命の時は、突然、やってくる。クジラの異常な大群が浜に押し寄せた。かつてないマオリの危機に、一族全員が結集する。もはや為す術もない状況の中、クジラの声に導かれるかのように、少女は一人、海へと向かった…。マオリの少女が起こす奇跡が、国境を超えて感動の涙をもたらす。ニュージーランドの国民的作家が描く、愛と奇跡の物語。
著者等紹介
イヒマエラ,ウィティ[イヒマエラ,ウィティ][Ihimaera,Witi]
1944年ギズボン生まれ。オークランド大学中退後、ギズボン・ヘラルド紙の記者を務め、再び学究生活に戻る。短編集『Pounamu Pounamu』(72)、続けて小説『Tangi』(73)と、マオリ人作家として初めて本を出版し、注目を浴びる。これをきっかけに当時のニュージーランド首相によって、外交官に起用され、アメリカで大使館に勤務。90年からオークランドの大学で教鞭をとるかたわら、精力的に執筆活動を続けている。小説からノンフィクションまで、著作は多数。ニュージーランドの国民的作家である
沢田真一[サワダシンイチ]
弘前大学人文学部助教授。国際社会講座所属。現代オセアニア論担当
サワダハンナ・ジョイ[サワダハンナジョイ]
弘前大学留学生センター専任講師。比較文化専攻
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