内容説明
「私、雷に打たれたいんだよね」僕の隣で、千歳さんがそう呟いた。いつも制服の下にハイネックのシャツを着ている風変わりなクラスメイト。彼女に頼み込まれてこの夏、雷を“落とす”ための避雷針作りを手伝わされることに。何でもなかったはずの僕の日常が、彼女によって少しずつ彩られていく。きっと、千歳さんは何かを隠している。それでも千歳さんと一緒にいたくて、ずっとこんな日が続けばいいのにと思っていた。彼女の“ひび割れ”にも気づけないまま…。ゆっくりと進む恋と痛み。少年と少女が“心”を見つけるひと夏の物語。II Vクリエイターアワード“小説部門賞”受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほたる
13
雷に打たれたい、常にハイネックを着た少女との出会い。ストーリーとしては展開が読めやすく単純ではあったものの、そこにある青々しさを十二分に感じることができた。このひと夏の出来事を経て、彼と彼女がこの先どう生きていくのか。そこに想いを馳せながら閉じる。2021/12/30
JUN
3
忘れてはいけない音と光。2022/01/02
まな
1
「雷に打たれたいんだよね」 少女のそんな一言から始まる少年少女の物語。きっとその一言がなければ交流がなかった2人。 きっと誰もが何かしらの秘密を抱えているんだと思う。みんなが何かしらの秘密を抱えて。みんなが痛みを隠して。「生きるというのは、理不尽さを噛みしめながら、理不尽さを使いこなすということです」そんな言葉が印象に残った一作だった。2023/01/09
アヒノ
1
雷に打たれたい願望のある少女と男主人公が雷に打たれるために自分達で避雷針を作っていく過程で…という話。 内容に対しての感想とは逸れるが、主人公には漫画家になりたいという夢があり、自分が作品に着手した際の言葉。 『全ての創造物の中で、つまらないと切り捨てた作品にも作者がもがいた跡があり、苦しんだ記憶、涙を流した瞬間があったと想像すると自分が恥ずかしくなった。0から1を作り出す事がこんなにも難しいと当事者になるまで少しも理解していなかった。』この文章が一番刺さった。2022/02/15
takaku y
0
聖蹟桜ヶ丘あたりの地名満載のお話。2022/09/08