内容説明
「あなたも、生きたくても生きられないのでしょうか」2035年、神奈川県・江ノ島の“ラストリゾート”。この場所で遠野眞白が出会う人は、誰もが「死にたい」と願っている。安楽死が合法化された日本。人命幇助者“アシスター”の眞白は、死に救いを求める人々と正面から向き合う。暗闇の奥底に微かな「生きたい」があると信じ、希望の光を照らしたい。もう二度と、あの日の後悔を繰り返さないために。苦しくても、生きる理由を見つめ直す。新鋭作家が紡ぎだす、切なくも温かい命の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
98
初読みで北海道在住の作家さん。楪さんは「ゆずりは」と読むようです。舞台は近未来でテーマは「安楽死」。生きる希望を失いつつある人々が「安楽死」を選択し、この世から別れを告げるコトのできる制度に携わる『アシスター』と呼ばれる担当との関わりを綴ります。人それぞれに生きる希望を失い、生きていくコトに前向きになれない描写はやはり苦しかったですね。『アシスター』の「眞白(ましろ)」さんの奮闘ぶりもさることながら、やはり「安楽死」を選ぼうとする人々の葛藤が切ないです。本作がデビューとなる作家さんですが、先が楽しみです。2025/03/20
☆よいこ
79
YA。西暦2035年。世界規模感染症流行後の世界。日本で「安楽死」が認められた。安楽死をするためには終焉要件を満たす必要がある。2種類の終焉要件があり、ひとつは不治の病などで生存が維持できないと判断された人「RES(レス)」。もう一つは、自らの要請で安楽死申請を行う「REN(レン)」。RENを申請したら1年以内に「アシスター」と10回以上面談し意思決定を行う、最終確認後3日以内に実行すること、生涯に1度だけしか申請できないなど条件がある。新米アシスターの遠野眞白(ましろ)は安楽死志願者との面談を行う▽2022/06/13
Kurara
36
★3.5 【22.43】2022/05/07
あおでん@やさどく管理人
27
【第39回やさどく】安楽死希望者のアシスターである眞白の視点を通じて、「人に寄り添う」とはどういうことか考えさせられる。アシスターが面談で求められるのは、申請を取り下げさせることではなく、相手自身の真の思いに気付かせてあげること。その気付きを与える種は、様々な経験とそこから自分で悩み考えたことにあるのだろう。2022/10/18
達ちゃん
23
楪さん初読です。安楽死をテーマにしたストーリー、なかなか良かったです。最後の「ゆびきり」はグッときました。次作につながるようなのでそちらも楽しみです。2024/04/03