内容説明
皇太子妃をめぐる裕仁親王(昭和天皇)の「宮中某重大事件」は有名だが、嘉仁親王(大正天皇)の婚約内定取り消し事件はあまり知られていない。内定が変更されなかった裕仁親王と久迩宮良子女王(香淳皇后)の結婚と違い、嘉仁親王の妃は伏見宮禎子女王から九条節子(貞明皇后)に交代させられることとなった。なぜ婚約は解消されたのか?病弱な大正天皇ただ一人しか直系男子に恵まれなかった明治天皇の苦渋の決断、それを取り巻く皇族たちの思惑など、皇太子妃選定を通し、近代史における天皇・皇族の実像に迫る。
目次
序章 もう一つの「宮中某重大事件」
第1章 幼少時代の嘉仁親王
第2章 皇太子妃内定まで
第3章 最古の宮家
第4章 内定解消
第5章 九条節子浮上
第6章 噴出する不満
第7章 それからの伏見宮父娘
終章 「宮中某重大事件」
著者等紹介
浅見雅男[アサミマサオ]
1947(昭和22)年、東京生まれ。70年、慶應義塾大学経済学部卒業。出版社に入り、雑誌・書籍の編集に携わる傍ら、日本近・現代史に興味を抱く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばう
19
★★皇太子妃を巡る裕仁親王(昭和天皇)の「宮中某重大事件」は聞いた事があったけれど大正天皇にも同じ様な事件があったとは知りませんでした。天皇の周囲の一部の人達の思惑でお妃候補がくるくる変わっていく。そういう時代だったと結論付けてしまうのは簡単だけれど当事者達にしてみればたまったものではなかったでしょうね。2015/03/23
縁側
7
面白かったが、学術書として読んでいるわけではないので、参考文献の説明とかがくどく感じた。本来なら一般庶民には知らされる事のなかった菊のカーテンの中での出来事が、このように誰でも知る事が出来る不思議さ。伏見宮貞愛親王のような、天皇の藩屏としての皇族が確かに存在した時代ならば、今の世の内親王をどう思われた事か。2021/03/21
まめお~
7
皇太子(大正天皇)の后選びにあたり、宮中首脳が「顔が」「背が」「性格が」と言いたい放題^^; こんな話もありつつ、幼少時の皇太子、伏見宮家の歴史、禎子女王との婚約解消後の后候補浮上、その後の伏見宮父娘等々について、内親王御養育主任の日記を中心とした膨大な参考文献により書かれている。先日読んだ「大正の后」では知ることのできない婚約解消にいたる経過や明治天皇の思い・・興味深かった。「大正の后」でも登場した「宮中某重大事件」では婚約が解消されなかったから、今の天皇陛下がいらっしゃるんだなぁ。なんだかスゴイ・・2014/12/20
mimm
4
ゴシップ的な臭いに惹かれ、野次馬根性で手にした一冊。大正天皇の婚約解消事件のノンフィクションで、こんなことがあったと初めて知りました。と同時に、平安辺りの皇族婚姻の根回しと言うか泥沼過程というか野望と言うか、そんなのも垣間見た気がして、個人的には楽しんでしまった一冊です。皇族に力を取り返すのも、中世の元気な上皇が浮かんでしまったり。今問題になってる宮家のことも、ここで種が蒔かれたか…と、興味深いところがいくつもありました。何だか古代とあんまり変わってないような気もするのだけれど。庶民には関係ないか。2013/04/18
恵美
3
当事者の人となりや時代背景、禎子女王に決まってから解消、九条節子に決まるまでを詳しく描いているのでわかりやすい。2018/03/19