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内容説明
丹頂鶴の保護に人生を捧げた老人の物語。鶴の家族は生き方までも教えてくれる。夫婦のこと、子育てのこと、そして看取りのこと。生き方を考えるノンフィクション。
目次
第1章 タンチョウの管理人
第2章 タンチョウがやって来た
第3章 タンチョウを知る
第4章 世界初の人工孵化へ
第5章 タンチョウの不思議な力
第6章 タンチョウと日本人
著者等紹介
高橋良治[タカハシリョウジ]
昭和9年、北海道釧路市生まれ。同33年、釧路市丹頂鶴自然公園開園に伴い同公園管理人に就任。同39年にヒナの自然孵化に成功し、同43年には人工飼育に成功。同45年には世界初の人工孵化・飼育に成功した。同62年、NHK特集「鶴になった男」が放送。翌63年、同公園園長に就任。平成元年、『鶴になったおじさん』(偕成社)刊行。同7年、定年退職し、同11年、名誉園長に。受賞歴は昭和60年、ソロプチミスト日本財団「千嘉代子賞」、同63年、吉川英治文化賞、平成19年、北海道社会貢献賞、同21年、財団法人日本鳥類保護連盟総裁賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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めぐ
6
釧路の丹頂鶴自然公園の管理人さんが絶滅寸前のタンチョウを人工孵化、人工飼育で殖やしていく過程の試行錯誤を記録したノンフィクション。トラブルへの創意工夫と鶴との意志の疎通度合いが素晴らしい。子供の頃に同じ著者の『鶴になったおじさん』を読んで感動し、早速小学校のアヒル小屋からアヒルの卵を拾って来て成鳥まで育てたりした記憶が蘇った。鶴は北海道辺りにしか居ない鳥だと思っていたので自分の今住んでいる辺りでも江戸時代までは見られたという話には驚いた2022/04/01
fubuki
4
昔、ドキュメンタリーで見たときは、楽しそう、などと思ったのだが、こんなに大変だったんだと初めて知った。そりゃ、世界初の人工孵化、人工飼育なんだから、テキストもないんだし、好きだけではできない。生き物を知ることはまず「観察」なのだと知る。寝食を共にするどころか、食事も寝る間も惜しんで飼育に力を注いでこられた。時代を感じるのは「調教」という言葉が出てきたこと。自然に返す場合、餌付けや調教など、もってのほかと思うけど、そうやって自然に返されてきた、目から鱗の感じ。種は違っても愛情は伝わるということだろう。2017/07/23
katta
2
昭和33年8月27日、世界で唯一の丹頂鶴自然公園が釧路市にオープンした。著者はこの公園の最初からの管理人で飼育員でもある。ユニークな飼育方法はNHKのドキュメンタリにもなったほど。本当に鶴を我が子のように、胸に抱いて人工保育する。あまりに親身に世話をするので、交尾を迫られて困ったことも。鶴って鳥がいかに家族を大事にし、愛情深く優しい鳥なのか、言葉が朴訥なだけに余計心に沁みる。絶滅寸前だった丹頂鶴が1000羽にもなっているという。いやーよかったねえ。2010/05/24
ももんが
0
図書館本。タンチョウヅル、つい見とれてしまいます。学名はGrus japonensis、まさに日本の鶴。けれど明治以降乱獲にあい、絶滅寸前まで追い込まれてしまいます。そんな中著者は突然鶴公園の管理人となり、手探り体当たりで給餌・人工孵化・人工飼育に取り組んでいきます。タンチョウへの熱意と愛情が、飾らないまっすぐな言葉で書かれています。タンチョウたちに会いに鶴公園や釧路にいきたい。タンチョウのことだけでなく、人間のこととしても学びが多い本でした。2024/09/10