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内容説明
古代・中世・近世と様々な時代の文献の中には、「怪異」という言葉や、「不思議なこと」「あやしいこと」の記述が多数存在する。それらは時に、「天」や「神」に関わるとされ、また時に朝廷や幕府の都合の良いように塗り替えられ、意図的に流布されてきた。つまり日本を統治する上で、「怪異」がシステムとして機能させられてきたことも意味する。不思議なことは、過去から現在、洋の東西を問わず起きている。それらが日本ではどのように説明されてきたか、「怪異」を日本人がどのように認識してきたかを読み解き、その文化と社会のありようを見つめ直す。日本文化の新たな側面を「怪異」をキーワードに開拓しようと試みる一冊。
目次
「怪異学」の目指すもの
第1部 律令国家の形成と「フシギ」の認識史(奈良・平安時代の人々とフシギなコト;「祟り」「怨霊」、そして「御霊」―神霊を語る者;「恠異学」の先人たち―古代史・文化史・王権論)
第2部 中世 多元化する国家・社会と「フシギ」の展開史(鎌倉時代の怪異;室町時代宮廷社会の精神史―精神障害と怪異;室町王権と都市の怪異;コメント 能の「不思議」―能における霊魂観;西洋中世史研究と怪異学―前近代史の共通言語を目指して)
第3部 近世社会と怪異―近代に至る道筋を探す(近世社会の成立と近世的怪異の形成;近世・近代の「怪異」と国家/社会)
私たちの「怪異」現代の中の「怪異」と怪異
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
4
日本の謎と不思議に挑戦する、東アジア恠異学会。 東アジアというのは、日本について語る最低限の範囲で、実際には西洋や、仏教についての話題も扱う、諸外国の文献は、あまり登場しない。 可能性とあるように、本書は射程範囲にあることをある程度連ねたもので、統一した何かといったものは、朧げである。 この朧げなものが、この学会の標的となる。 妖怪はキャラクター的に捉えられがちだが、文献などの記録を読むと、多くは気配や声のようなもの、妖怪とは体験、あるいは、理解・解釈のことを指しているように思われる。 2021/12/23
メーテル/草津仁秋斗
0
様々な人による、日本史・日本文学史上に表れた怪異に関する論集。当時の人の怪異とのつきあい方がわかって興味深かった。2015/08/16
さやまめ
0
京極氏の文章を読むために手に取りましたが、ちゃんと全部読みましたよ!論文集なんて久しぶりだったので、あれこれ考えながら読めて楽しかったです。東アジア恠異学会は「王権と怪異」を中心に据えてるようですが、個人的には「民衆と怪異」にも着手していただきたい。それにしても、京極さんの文章はやっぱりすごい。言葉の嵐に翻弄されていつの間にか導かんとするところに導かれてしまう感じ。2011/08/26
はにゃん
0
☆ ううむ、論文集だったのね。文体が重すぎて手こずったわ。2009/07/08
p-nix
0
民俗学の派生的な位置づけで読んだ。2009/06/12