内容説明
「地球交響曲第三番」のクランクイン直前、共に「新しい神話」を探す旅に出る約束をした出演者、星野道夫の訃報が届く。見えない星野を撮ることを決意した龍村は、神話の語り部ボブ・サムをはじめ星野を巡る人々と出会いながら、天河大弁財天社、カナダ・ハンソン島、アラスカ・フェアバンクス、ハワイ…そして三内丸山遺跡へと旅を続けた。星野の魂と共に、私たち自身の中に眠っている1万年前の記憶を遡る果てしない旅は、なにをもたらしたのか。ワタリガラスの神話に導かれた、魂の思索エッセイ。
目次
火より孵化ぃる
死の報せ
朝の光の中で
フリーマン・ダイソンの目
死は黄金色をしている
男の子宮
赤い実を食べる
決意
“魂”の創造
未知との遭遇〔ほか〕
著者等紹介
龍村仁[タツムラジン]
1940年生まれ。映画監督。京都大学文学部美術学科卒業後、NHKに入局。数々のフイルム・ドキュメンタリーを演出する。同局退社後、ドキュメンタリー、ドラマ、コマーシャル等の作品を手がける。92年、ライフワークのドキュメンタリー映画『地球交響曲』の「第一番」を完成。95年に「第二番」、97年に「第三番」を発表。2000年春、龍村仁事務所を設立する。01年「第四番」を発表。シリーズは180万人以上を動員し、現在も上映会が続いている
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感想・レビュー
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ふう
80
『人はどこから来て、どこへゆくのか』その長い道の途上で、わたしたちは何を手にし、何を失ったのか。これからも失い続けるのか…。この作品に登場した人々が静かに問いかけてくるようでした。壮大な時間と自然を旅した後にわたしたちが辿り着いたこの場所は、本当に私たちが求めていた幸せな場所なのか。遠い記憶が語るものに耳をすまし、もう一度旅の目的を思い出してみてほしいと。2018/02/08
みねたか@
19
映像詩「地球交響曲」の作成過程。星野道夫との出会いを端緒とする作品に着手した矢先の星野の訃報。葛藤の中、見えない「星野道夫」は必ず実在する。そう信じ約束の旅を続けるためアラスカへ。フェアバンクスの古い友人,クマ一族の長老など人々とのふれあい,必然を感じさせる出来事を通じて、星野のメッセージ「結果が最初の思惑通りにならなくても、そこで過ごした時間は確実に存在する。そして最後に意味を持つのは、結果ではなく過ごしてしまったかけがえのないその時間である。」の尊さが沁みてくる。2018/04/18
のせなーだ
0
技術文明の発展の先は、期待通りのものだったか。文明のおかげで簡単に思いを実現できても、五感で感じ取る、その土地の香り、音、自分で自然との繋がりを見つめるのは、その方向は昔の儀式へと戻るのだろう。 『人生とは、何かを計画している時に起こってしまう別の出来事のことを言う』『目に見えぬもの、すなわち魂に価値をおく世界観』心に残る言葉が響く、そこには人間の誠実さとの出会いがある。2016/08/28
夢杏
0
映画も観たい。自主制作で、細々とやってるらしいです。
雪菜
0
読んでいると静かな気持ちになります。龍村監督の本、好きです。