内容説明
だまし、だましの中から人生の希望が生まれる。田辺聖子が到達した「ほな」と「そやな」の生き方哲学。
目次
究極のあわれ
金属疲労
惚れる
寝首
いい男
家庭の運営
上品・下品
憎めない男
老いぬれば
男と犬〔ほか〕
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928年、大阪生まれ。樟蔭女専国文科卒。1964年『感傷旅行』(角川文庫)で芥川賞、1987年『花衣ぬぐやまつわる…』(集英社)で女流文学賞、1993年『ひねくれ一茶』(講談社)で吉川英治文学賞を受賞する
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感想・レビュー
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miki
15
これは何度も読み返す一冊になるだろうなと確信。さすが人生の大先輩。言うことのひとつひとつにユーモアと妙味に溢れてる。「はあ、そうか」と読みながらも「まったくその通りで」と頷けてしまう。(すべて鵜呑みにしたらいかんと思いつつも…)まったき生きにくい世界の中で生きやすく暮らすこと、にっちもさっちもいかなくとも、神サンに寝首をかかれても、笑って「こんなもんやろ」と生きていく、そんなのが理想(やっぱり理想)だと思う。2013/06/07
昭和っ子
9
田辺聖子さんの文章には「ねむりひめ」の親切な魔法使いを連想する。生活の重荷がなくなる訳ではないが、軽くしてくれる効能がある。文中「よき呪文」がたくさんあった。彼女の描く「神サン」は怖い。人の寝首をかきに来るのが本性の神サン相手には、人は「しゃーないな」と達観するしかなし。「神サン」に意地悪されず順調人生を送る人は「神サン」に愛されている訳でなく、後でいっぺんに叩く為なんだそうだ。「人間のプロ」と称される爺さんの「目立つな」という言葉は沁みた。「人にまぎれて実はこっそり幸福の蜜をなめているのがいい」って!2012/05/26
EMiri
6
男女関係についてのアフォリズムが主のエッセイ。しかし、印象に残ったのは〈気ごころ〉の章。“日本の古典をもっとみんなに知って欲しい、愛して欲しい”と述べるおせいさん。彼女の「新源氏物語」を読んで、伝統芸能だけでなく、屏風や巻物鑑賞なども素人目線ながら楽しめるように。四字熟語を交えての“当意即妙”な受け答えができる人になるには先が遠いですが、古典知識は少しずつ身に付けていきたいです。2021/02/11
magichour
3
「ま、しゃーないやん」「ほどほどでもええやないか」「適当にあしろうたろか」「まあ、こんなトコやな」「ほな」人生はだましだまし保ってゆくもの。2019/07/04
KJ
2
2003年の本だが、人生の先輩としての言葉は色あせてない。男と女、夫婦…人生後半戦には琴線に触れるフレーズばかり。2019/07/07