出版社内容情報
プラハのソビエト学校で、マリは50カ国以上の同級生 と個性的な教師に囲まれた刺激的な学校生活を送る。30年後、激動の東欧の中で音信の途絶えた親友達を訪ねあてたマリが遭遇した真実とは。
内容説明
1960年、小学校4年生のマリは、プラハのソビエト学校にいた。男の見極め方やセックスのことを教えてくれるのは、ギリシャ人のリッツァ。ルーマニア人のアーニャは、どうしようもない嘘つきのまま皆に愛されていて、クラス1の優等生はユーゴスラビア人のヤスミンカだ。30年後、激動する東欧で音信の途絶えた彼女たちと、ようやく再会を果たしたマリが遭遇した真実とは―。
著者等紹介
米原万里[ヨネハラマリ]
ロシア語会議通訳、エッセイスト。1950年、東京生まれ。1959~64年、在プラハ・ソビエト学校に学ぶ。東京外国語大学ロシア語科卒業、東京大学大学院露語露文学修士課程修了。1980年設立のロシア語通訳協会の初代事務局長を務め、1995~97年会長。1992年、報道の速報性に貢献したとして日本女性放送者懇談会SJ賞を受賞した
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
54
少女時代を各国共産党幹部の子弟が集まるプラハのソ連学校で過ごした著者のエッセー。国籍が異なる3人の級友との思い出とソ連崩壊後に彼女らの消息をたどる旅から、東欧・中欧のニュースにならない暮らしが見えてくる。著者が後年学校近くの駄菓子屋のおばさんに自身も特権階級と思われていたことを知り不本意に思う場面と、自身の特権を見事に意識の外に押し出してその享受に適応して生きるアーニャの相似性が面白い。多国籍の級友たちと質の高い教育によって高い国際性と教養を身に着ける環境に居られた著者が、そのギフトを還元してくれた良書。2022/02/05
とも
53
★★★★☆長い間積読となっていたが、やっと手に取れた。幼少期に育ったチェコスロバキアでであった中欧(著者曰く、東欧ではないらしい)出身の3人の友人を、後年 訪ね歩く、という内容を物語ともエッセイともいえる作品。東西冷戦からソ連崩壊、その周辺国の政権変革という激動の時代を生きてきた少女たちが数十年後再開したときにどう変わり、変わらなかったのか、読みやすく軽妙なタッチに仕上がっている。2017/03/26
emi
50
今、昔の友達に会いたいと思った時、再会できる可能性はそう低くない。しかし、時代と環境が変わればそう簡単にはいかない。少女時代、5年間通ったソビエト学校の級友、リッツァ、アーニャ、ヤスミンカに再会するまでと少女時代の思い出、再会時、そしてその後の体験が綴られた米原万里さんのエッセイ。背景はとても複雑で、読む前はシンプルな友情を築けるのかなと思っていたが、むしろ成人後の再会のほうがなんとも複雑だ。ナショナリズムやアイデンティティの喪失を脅かされた時、真っ赤な真実を言うのはアーニャだけではないのかもしれない。2016/11/05
ころりんぱ
47
子どもの頃からずっとのほほんと日本で暮らして来た私には、米原さんのプラハのソビエト学校で過ごした少女時代の話はびっくりの連続でした。プラハの春以前の東欧、ギリシャ人、ルーマニア人、ユーゴスラビア人という同級生3人との思い出から、再会まで。子ども時代は子どもなりの感覚で自分たちの置かれた状況と向き合いながら…離れて大人になってからは、世界情勢や政治、経済、イデオロギーといろいろ難しいことまで知って、あの時のあれはそういうことだったのか!とわかったりして。それでも育んだ友情は宝物で。良いものを読んだなと思う。2017/10/11
あすか
31
1960年、小学校4年生の日本人のマリは、プラハのソビエト学校にいた。男の見極め方を教えてくれるのは、ギリシャ人のリッツァ。ルーマニア人のアーニャは、どうしようもない嘘つきのまま皆に愛されていて、クラス1の優等生はユーゴスラビア人のヤスミンカ。30年後、激動する東欧で音信の途絶えた彼女たちと、ようやく再会を果たしたマリが遭遇した真実とは。 米原万里さん2作目の読了。読む前は堅そうなお話だと思ってたけど、面白い作品でした。2017/06/25
-
- 電子書籍
- Are You Happy? (アーユ…