内容説明
童話、詩、書簡などにちりばめられた数々の名言・美しい表現・心を打つ文章を集めた、途方もなく大きく透明な作家の本質に迫る決定版・賢治読本。
目次
第1章 自然―イーハトーヴにきらめく自然のいのち
第2章 表現―賢治ならではの感性と視点による多彩な表現
第3章 人生―いたずら好きの少年から祈りに生きる晩年までの素顔
第4章 人間―他者との間に綾なす想い
第5章 思想―イーハトーヴの風と光に育まれた思想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
24
自然、表現、人生、人間、思想という五つの切り口から、宮沢賢治の作品の言葉が集められている。手紙からの引用も多く、賢治の想いがどのように作品に結晶化していったのかが分かる。 こうして名言を並べてみると、賢治の共感する力、多様なものの視点になりきる魅力が感じられる。水底からゆらめく世界を見上げる蟹の目、「時間のないころ」の遥かなゆめをみる岩山、暗い標本室に連れて行かれる運命をそっと受け入れる火山弾、他の命を奪って生きることをやめ星空へと昇るよだか。自然の事物に仮託され、賢治の思想が立ち現れる。⇒2020/10/18