出版社内容情報
全共闘世代を象徴する歌人として注目される著者が歌わなければならなかったこととは。遠いベナレスの地でなつかしい高野の森で、そして国会前で・・・絶えず問い続ける。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
25
#短歌 p10 解凍を終えたる魚の青光り玄界灘を想起するまで p18 雨音の激しくなりてペンを置くうたよむ心湿り初めて テレビ切り独りに戻る雨の夜のうつしみ平凡そして厄介 P20 水道橋お茶の水橋飯田橋それとなく呼ぶ雨傘のなか p23 ゆるやかな傾(なだ)りを下りて梅林に注ぐ冬陽を水のごと浴ぶ p226 雨の萩しなだれ地に伏し廃線の朽ちた枕木並んだように2017/11/08
双海(ふたみ)
9
そうか、心を病んでおられたのか。「夕凪に夕庭、夕駅、それぞれに夕を戴き美しき日本語」「家路とはあたたかきみち待つ人のなきわたくしも家路を急ぐ」「シクラメンに水やる朝の窓越しの光ひらめく今日より弥生」「水仙のしたたるような夜の香り病む人の辺に辿りつくべし」「半分は壊れてしまったわたくしと木椅子の上にぺたんと座る」2023/07/06
あや
2
紀州を詠んだ歌が好きです。2018/07/28
浦和みかん
2
頭の数連を特に面白く感じた。<解凍を終えたる魚の青光り玄界灘を想起するまで>の「想起」のように、観念的な漢語がビシッと決まる感じがよい。作者の歌集はまだこれしか読んでいないけど、第一歌集のタイトルからも、こういう方法は得意な人なのかもしれない。ただ、途中からは割と普通の歌が多く、例えば、政治詠なんかも鋭い批評性があるかと言えばない気がする。2017/11/25