出版社内容情報
短歌で世界は変えられるか。
史上初、全選考委員が最高得点票を投じて角川短歌賞を受賞の著者が放つ第1歌集。
傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出てゆく
雨はふる、降りながら降る 生きながら生きるやりかたを教へてください
愛はつね逢ひをさびしくすることの雨の純銀に濡れてゐる花
寄りながら暗き言葉をうちかはす我らの肌で焼死せよ雪
月の脚しづかにのびてゆきふるる菜のはな菜のはなみんな菜のはな
それでゐてわたしはあなたをしなせるよ桜は落ちるときが炎だ
藪内 亮輔[ヤブウチ リョウスケ]
著・文・その他
内容説明
第58回角川短歌賞を史上最高得票で受賞した著者の第一歌集。
目次
第1部(花と雨;Between,Between,Between,;夕星 ほか)
第2部(愛について;適当な世界の適当なわたし;蜚〓縁火炎図 ほか)
第3部(霊喰ヒM;つよき火;しなせる ほか)
著者等紹介
藪内亮輔[ヤブウチリョウスケ]
1989年10月10日、京都府生まれ。2012年角川短歌賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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13
近代短歌的な局所化=描写による抒情の表出が相当巧みで、もしかしたら(解説の永田和宏にもっとも高く評価されている)「花と雨」みたいなものを量産することも可能なのかもしれないけれど、おそらく作者はそういった表現が現代ではリアリティを持ち得ないと考えている(藪内亮輔「短歌にとって瞬間とは何か」参照)。だからこそメタ的な視点を導入し読者を没入させないための「露悪」が必要とされ、そこで生まれる抒情と露悪、愛と否定、歌と散文の葛藤が藪内の歌を詩として成り立たせているように思う。2019/02/02
チェアー
12
起きていることから少し身を離しているような、冷ややかな視線を感じる短歌群。ほんとうはそこに身を置きたいのだけど、それをためらうようなため息を感じる。ことばの美しさを感じる歌が多い。2019/09/04
全縁
10
ずっと読みたかった。言いさし、命令形、つよい言葉などの歌への組み込みかたが異常にうまい。なのに巻頭歌のような静かな情景描写も卓越していて、読んでいてしびれる。「詩は遊び? いやいや違ふ、かといつて夕焼けは美しいだけぢやあ駄目だ」2022/06/27
あや
6
岡井隆さんが亡くなる数か月前に「未来」の編集後記で推されていた歌集。恋愛を詠んだ歌、雨を詠んだ歌が好きです。2020/12/13
三柴ゆよし
5
「雪」の歌が軒並みよかった。2020/01/28