出版社内容情報
生き残りをかけた決断だった! 騎馬文化伝来の謎を追う第2巻最前線の歴史学者・考古学者が白熱の論議を展開した2015年の記念碑的シンポジウムを完全収録。第2巻は東アジア情勢が日本に騎馬文化をもたらした背景を解明。刺激的な発見と綿密な検証が新たな古代史像を生む。
古代史シンポジウム「発見・検証 日本の古代」編集委員会[コダイシシンポジウムハッケンケンショウニホンノコダイヘンシュウイインカイ]
内容説明
生き残りをかけた決断だった!緊迫した東アジアの情勢が騎馬文化を日本列島にもたらし、イノベーションとグローバリゼーションが始まった。最前線の歴史学者・考古学者が結集し、古代史の謎に挑戦した記念碑的シンポジウムの画期的な成果を完全収録。図版・脚注・資料を多数収載。
目次
危機の中の古代国家(「騎馬民族による征服説」について;特別収録 騎馬民族による征服説)
古代国家の内と外(基調講演 稲荷山鉄剣銘の衝撃―金石文・中国史書と記紀からみた四・五世紀;基調講演 日本列島の騎馬文化はどのようにして始まったのか;基調報告 古代東アジアと日本列島の馬具;基調報告 古代韓日交渉史の新たな展望と課題;基調報告 日本列島の初期の馬具;基調報告 渡来人の実態と多面的な役割;論考 渡来の文化と四・五世紀の国際関係;論考 騎馬文化の地域性;論考 騎馬文化受容前後の倭と百済・加耶との関係;全体討議 騎馬文化と前方後円墳の広がり)
資料編
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウォーカージョン
3
江上氏の「騎馬民族による征服説」が収録されている。それだけでも読む価値あり。この説は「なんでも韓国起源説」に利用された哀れな学説という認識だったが、中身は全然違った。さて、この本は相変わらず専門的すぎて素人には難しいが、理解できる部分もあった。首長連合としての倭の国々はそれぞれが外国との交流を行っていた。国際情勢の変化によりそれが難しくなり中央集権化がすすむ・・・・。自分には騎馬文化受容の必要性が理解できなかった。いったいなんのために。2017/12/16
遊動する旧石器人
1
2016年9月25日初版。2015年6月28日に開催されたシンポジウム「発見・検証 日本の古代Ⅱ 騎馬文化と前方後円墳の拡がり」を元に書籍化されたもの。本書は江上波夫の「騎馬民族征服王朝説」という日本列島の古墳時代中期に騎馬民族が列島にやってきて王朝を打ち立てたとする有名な学説から70年経過して、その後の考古学的な発見により古墳時代中期のとりわけ騎馬文化との接点について、様々な見解を述べられる。騎馬文化やそれにまつわる日韓交渉のお話が多いが、倭王武に関する物事も述べられる。その接点がやや不明確ではあった。2017/04/17
Book shelf
0
本書の本当のテーマは「騎馬文化」。朝鮮半島や中国に影響を与えた遊牧民の馬を扱う技術と馬具から見て、古代の日本がいかに渡来人の影響を受けたのかを日本と韓国の研究者が議論しています。最新の日本のみならず韓国の考古学的発見から議論された、とても興味深い内容になっています。魅力なのは、日本の国家形成に向けての流れを、日本だけでなく大陸の影響も視野に入れて考えたことだという点で評価されています。本書には江上氏の騎馬民族征服説も収録されています。2016/12/17