内容説明
青い羊の丘にたたずむ「僕」が日々出会うのは、不思議で素敵なモノたちばかりだ。たとえば天使の子供、旅人に手品師、人語をはなす銀色狼、それから千年プラタナス。夏の間だけひらく風工場や、宝物をつめた万華鏡、宇宙の時計に、星のかけらの魔除け。誰にも姿をみせない司書と、図書館で羽ばたく本の鳥たち―。綺麗でかわいい、ずっと手元に置いておきたい。眠る前にひとつずつ、ゆっくり読んで夢をみたい。優しくも繊細な世界をつむぐ童話作家・竹下文子が贈る、24粒の宝石掌篇。
著者等紹介
竹下文子[タケシタフミコ]
福岡県生まれ。童話作家。21歳のときに『星とトランペット』でデビュー。1995年「黒ねこサンゴロウ」シリーズ(偕成社)で路傍の石幼少年文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鷺@みんさー
44
イラストがとっても綺麗な色使いで、優しい。お話はどれもショートショートのように短く、キラキラ、星が空から降ってくるような美しさと、不思議な世界観に満ちている。2018/06/14
七色一味
39
読破。表紙に惹かれて、でも図書館で借りた^^ 買うまでも、ないかな。ファンタジーというよりも、連作お伽話と言った感じ。読んでいて、頭の中をなぜかイルカの「サラダの国から来た娘」がリフレイン。なぜ? 全く関連はないはずなんですが…。2014/11/15
あおでん@やさどく管理人
36
【第33回やさどく】穏やかでファンタジックな世界が伝わる文章が、心をスッと清らかにしてくれる。青い羊の丘には、自分も行きたい場所がたくさん。ラッパの音とともにやって来るトールさんの売るパンを買いたい。あごひげさんの風工場でジュースを飲みたいし(もちろん桃と葡萄の両方!)、何よりいつでも開いている図書館で心ゆくまで本を読みたい。2021/08/01
七月せら
24
〈再読〉ゆるやかに流れる時間と優しく紡がれる物語が疲れた身体に染み渡ります。ひとつひとつのお話が幸せな夢の種になって蓄えられた気がするので、今夜は良い夢が見られそうです。おやすみなさい。2017/08/23
うめ
22
人も物語も意識するしないに関わらず、繋がれてはめぐりゆく。愛も切なさも悲しみも何もかもを包み込んで。一番大切で美しいものは何?それは過去に水に沈めた誓いの指輪かもしれないし、今落ちてきた星の欠片かもしれないし、未来に封解かれる薔薇の香りかもしれない。私はそれを全て物語にすくい取り、ノートに記したその後で、また旅立って行く。世界はこうしている一瞬にもまた新たな物語を生み出して、そして、眠りにつくように忘れてゆく。物語を記すのは何かに抗う証かもしれないし、世界に予め組み込まれた理そのものかもしれない。2015/02/03




