内容説明
江戸時代初期、備前岡山城下に和気湯なる風呂屋が繁盛していた。中でも、お藤という湯女はもっとも客を集め、人気を誇っていた。その美貌と諸芸は群を抜き、なぜこの下世話な風呂屋にいるのかという人々の疑問ももっともなことだった。だが、お藤はけっして過去や身の上話を語ろうとはしなかった…。小早川秀秋公のご落胤とも、朝鮮王族の血をひくとも囁かれるお藤は、果たしていったい何者なのか?彼女が寝物語に語る不可思議な物語とは?日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した『ぼっけえ、きょうてえ』の著者が挑んだ本格時代小説。圧巻の怪談絵巻。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年岡山県生まれ。99年「ぼっけえ、きょうてぇ」で日本ホラー小説大賞を受賞。同作を含んだ短篇集で山本周五郎賞を受賞する。『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モモ
52
岡山で名高い和気湯の湯女・お藤。岡山城主のご落胤、朝鮮王朝の血を引くだの様々な評判がある。お藤は話上手でもあり、夜毎、客に様々なぼっけぇ怖い話を語る。王が寵愛する雌のオウムに嫉妬し、異形の鳥となった王妃のその後。女郎の母に捨てられ悪党となった男の因果応報話。秀吉の元に送られたという、討ち取った敵の首に代わりに鼻を削ぐ話が恐ろしい。『ぼっけぇ、きょうてえ』のもう少し昔の話といった感じ。今回も別世界に連れ去られたような忘れられない本。2020/06/21
ねむねむあくび♪
48
図書館の本。怪談、とあったので借りてみたが、私には、合わなかった…( ̄▽ ̄;)2016/08/24
カピバラ
36
和気湯の美しくも不思議な湯女、お藤が語る奇妙な話たち。正直怖いなー!というよりは、不思議だなぁ、不気味だなと感じる話が多かった。人形が本物の湯女になった話と、女人になってしまったおじさんの話が印象的だった。2015/08/27
深青
21
「和気湯」という風呂屋の湯女、お藤が語る奇妙で怖いお話。じわじわじわと効いてくる怖さで、お藤の岡山弁の語り口調もいい味出してると思う。一番不思議な存在はお藤さんだけどね(笑)2015/06/19
のりすけ
18
全然グロくもなく、怖くもないのに、摩訶不思議で掴みどころのない、湯気のような物語。でもこういう物語が、見せて隠している真実こそが、本当はとてもえげつないものなのかもしてませんなぁ。それをうま~く隠すのも、おなごの力なのかもしれませんなぁ。2018/02/04