内容説明
禅宗の最大宗派である敬千宗の大本山・長穏寺。修行が厳しいことで知られるこの寺に、二人の若き僧侶が上山した。北陸の古寺の跡取りとして真摯に禅宗と向き合う小平広也。バンドでプロを目指すも挫折し、「安定した就職先」として寺に飛び込んだ水原隆春。対照的な二人は、修行の日々を通して、寺のさまざまな問題に直面する。世襲がはびこる旧弊なシステム、先輩僧侶たちのイジメ、清貧とはほど遠い生活、そして、本来人々を救うためにある宗教が最後の砦として機能していない事実…。宗教が持つ清濁に翻弄される二人が辿り着いた理想郷とは?映画化、コミック化された『ひゃくはち』で衝撃デビューの著者が放つ、まったく新しい青春小説。
著者等紹介
早見和真[ハヤミカズマサ]
1977年、神奈川県生まれ。大学在学中より雑誌その他媒体にて執筆。ライターとして様々なジャンルで活躍。2008年、『ひゃくはち』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takaC
74
読み出しは面白かった。が、途中から何を読んでいるのかよくわからなくなってチグハグなまま最後まで行っちゃった感じ。文庫を持ってるけど再読しないかも。2015/12/28
かいちゃん
28
お坊さんってみんな同じに見えて個性が見えない、と思っていたのですが、なかなかどうして個性だらけじゃん。カルト宗教になるのは解せなかったが、お坊さんでも人間くささがよかった。2021/04/26
よこたん
27
表紙からしてちょっと不真面目不謹慎系の内容なのかと思ったら、主人公たちはそれぞれに立場は違えど、自分なりに迷い悩んで考えに考えてる。お寺に生まれた者そうでない者、約束された後継ぎとそうでない者、禅宗の厳しい雲水修行の場でも上下関係色々あって…どこへ行こうと人間関係は大変だ。突然の事故・病気・天災で失われた命と残された人達の苦しみに向き合い、僧侶として一体何が出来るのだろうか、答えを探し求めていく日々が続く。既存の宗教からカルトへの道は紙一重なのが怖かった。ここで涅槃仏は、何を思い何を見ているのだろうか。2016/02/28
あいら
14
「どうすれば明日を生き延びるための力になるか、必死に考えるんだ。考えることをやめたら人間そこで終いだよ」と言う言葉に感銘を受けました。 とかく嫌な感じのイメージがつきまとう宗教ですが、タクシー運転手さんが言っていたような 「死んだ人間の供養だけじゃなく、生きている人間の支えにもなってやって欲しい。 家族制みたいなもんがすでにないんだとしたら人間何にすがればいいんだよ。そこは宗教とか神様とかの出番だろ」 と言う言葉には頷けたんですが、肝心の主人公達がまだ迷いの途中。 考え続けなければと言うところですかね。 2019/03/20
nanoko
14
予想してたのと違って真面目な話でした。前半は面白かったけど、後半部分は正直なところあまり・・・。広也の追い込まれていく様が痛ましく、と同時に腹立たしくも思えて、読んでいて不快にすら感じました。余談ですが、私は決して信心深くはないんですが、お坊さんの説法って好きなんですよ。それで救われたなんて事はないんですけどね(それほどの悩みも持った事も幸いないし:笑)。2012/12/05