内容説明
1945年9月、東京・日比谷。GHQ本部前の人垣に紛れ、小林加代は、マッカーサーの登退庁を毎日観察し続けていた。戦争ですべてを失った彼女を生につなぎとめているもの―それはマッカーサーへの復讐だけだった。同じ頃、フィリピンで捕虜になった檜垣中尉は、身に覚えのない容疑を着せられ隔離幕舎に送られた。日本に帰還して教員に戻り、初等教育をゼロから始めることを心に誓う檜垣だったが…。終戦前後の日本を濃密に描き、熱い感動を呼ぶ著者入魂のエンタテインメント大作。
著者等紹介
建倉圭介[タテクラケイスケ]
1952年生まれ。97年『クラッカー』でデビュー。2006年に刊行した『デッドライン』が冒険ミステリー系書評家の熱い支持を受け、「このミステリーがすごい!」(2007年版)でベストテンにランクインし、大藪春彦賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつじん
15
敗戦とはいったいどういうことなのかを正面から取り組んだ快作です。終戦直後の混乱、特に教育についてかなり詳しく述べられており興味深いです。その激動の時代にマッカーサー暗殺を企てる一人の女性をじっくりと描いてあります。最後の部分が若干弱いですが女刺客の執念には感動しました。”戦後”について考えさせられるすばらしい一冊だと思います。2010/08/29
iwashinyan
3
読んでいる途中、井上ひさしの 東京セブンローズ を思い出した。扱っているテーマがとても良かっただけに、終わり方が余りにも呆気なくて…。取り残された人物も沢山いるし、せめてエピローグ的なものでもいいから、何かもう少し…こう…丁寧な幕の引き方をして欲しかった。2011/07/12
HEAVYSOULz
3
生きる事より、自ら死ぬ事の方が価値があるなんて時代は二度と来て欲しくない。2010/10/24
まんだよつお
3
マッカーサーの暗殺が成功しなかったことをぼくたちは歴史的事実として知っている。この小説の最大の欠点は、そうした歴史的事実に向って登場人物たちがどのように攻め、どのように守ったのかが、未消化のまま終わってしまっていることだ。素材的には申し分なく、上手くいけば日本版『ジャッカルの日』にもなろうものを、残念だ。三人の登場人物の誰にも感情移入できず、ただその行動を俯瞰するだけでは、物語を読む面白さは得ることができない。これもひとえに作者の力量不足によることは誰の目にも明らかであろう。2010/10/06
オオイ
2
「空襲・原爆等はユダヤ人殺害と同じ一般人の大量虐殺」との論理が理解できるのは私たけなのか、予想以上に面白かった。2012/07/05
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