内容説明
型破りの芸妓・フミ。その舞は神をも魅了しその恋は原野を駆ける。満州からシベリア、芸妓フミの恋と冒険は国境を越えて―。
著者等紹介
須賀しのぶ[スガシノブ]
上智大学文学部史学科卒業。1994年「惑星童話」でコバルト・ノベル大賞読者大賞受賞。以後コバルト文庫を中心に活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむれ
90
ザ・一気読み!一巻に続き、フミの一本気な性格に惚れ惚れ。こんなタフ・ガール憧れる。黒谷か山村か…結局、自分から惚れたか否かの違いなのかなぁ。自分のことを必要とする人と一緒にいるより、自分自身が必要だと思う人に添いたい…すごく野性的で貪欲な感情だけど恋愛の原点ってそこなんやろな。まさに”命短し恋せよ乙女”。でも、それを決断するのって難しいよね、だって自分のことを必要としてる人といると安心していられるし。私だったら黒谷を選ぶんだろうなぁ…劇的に生きるには強さが必要。人生まっしぐらのフミを見習いたい!2015/09/01
あつひめ
70
波乱万丈の中で生きる女。でも、女の戦は戦場のような中ではなく、やはり思い人と添えるか添えないかってところが戦いなのでしょうね。治安のどんどん悪くなる中で1巻とは違う生き方が始まっている。女郎屋の中での生きるか死ぬかは仲間に喰うか食われるかみたいな女の意地の部分もある。今回は、自分の身を守る「舞」を武器にまだ見ぬ世界に切り込んだけれど。時代に翻弄されていると言えばいいのか、また何かを手放して身一つから始まる。でも、そこがフミらしい気がする。どう転んでも諦めていない芙蓉の姿、第三巻でどう花開くのか楽しみ。2013/02/15
藤月はな(灯れ松明の火)
51
名誉があり、器用に熟せるからこその現状に留まってしまい、成長を止めたことによるスランプ。それでもお客は自分の舞への思いではなく、「名」に拍手を送るのだと気づくフミの気持ちはプライドを持っていたからこそ感じる屈辱。尊厳を持っていても「女」というだけで賤しめられ、救いの手なんて現実にはない。コサックの日本人への仕打ちは当時の黄色人種への軽んじる視点を描く。人間の命なんて蝋燭の灯りのようにしぶとくも儚い。命短し、恋せよ、乙女。待っていても欲しいものは手に入らない。思うように行動できるならば動いて手に入れろ。2012/12/03
銀河
40
これって続きがまた出るのかしら?結構厚いし、歴史的な難しい話も多いけど、あっという間に読み終わりました。黒谷の家の複雑な事情、興味深かったです。直前で助けがくるよね、という私の甘い期待は裏切られ、ひどい目にたくさん遭ったフミだけれど、最後のあの場面は顔がにやけて仕方なかったです。フミ、よかったねっ!けれどその後もうおひとかたの決心を読むと切なくなってしまって…。複雑な読後感でした。2011/12/18
れいぽ
40
怒涛の展開。そして続きもあるよね?の幕切れ。今回もテンポよくサクサク読めます。芸を極めるのってほんとに大変なことだなぁ。フミちゃんの「舞い」に対する真摯さに胸が熱くなります。「北の舞姫」がドンピシャ納得のタイトル。前作に比べれば、葛藤や苦悩が書かれているため全体的に重苦しい雰囲気ですが、タエちゃんの夢を背負ってまっすぐ立つフミが眩しい。続編期待してます!2011/09/06