内容説明
明治三十六(一九〇三)年春―。那智勝浦で奇怪な少年の姿が目撃される。目撃者の証言によると、少年は鶏や兎を襲い、人語を解せず獣のように吼えながら山の中へ逃げていったという。その後も目撃例が相次ぎ、村人の間には狐憑きの少年とか、神の姿だとかの憶測が流れる。そのさなか、とある病院で乳児が攫われるという事件が発生、博物学者・南方熊楠は弟子と共に事件解決へと乗り出すのだが。神話、狐憑き、山の民―。日本の風土に根づいた神秘を繙きながら明かされていく驚天動地の真相とは…!?横溝正史ミステリ賞作家が新たに挑む本格伝奇ミステリ。
著者等紹介
鳥飼否宇[トリカイヒウ]
1960年福岡県生まれ。九州大学理学部生物学科卒。18年の出版社勤務を経て、2000年奄美大島に移住。01年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。昆虫や生物、植物をモチーフにした異色で独特の本格ミステリに定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーコ
49
新聞の書評で知った作家さんで初読みでした。表紙の絵とタイトルに惹かれ読んだのですが思ってた内容とは違いました。最初 中々 物語に入って行く事が出来ず挫折するかも?と思いながら読み進めて 途中から少し面白くなりましたが 他の作品を読むかは微妙な所です。2017/11/02
糸巻
23
南方熊楠を主人公に熊野で連続して起こる不可解な事件の謎を解いていく長編ミステリ。あの熊楠さん、相当舌鋒鋭く東洋一のアンポンタンな弟子に対してかなりの毒舌。ちょっと可哀想にも思えるが、官憲や凝り固まった先入観で山の民を差別する住民に対しての言葉はスッキリさせてくれた。これだけで人格が知れるというもの。ひとつの謎から派生して複数になり全てが繋がる様が面白い。話のテンポも良いので最後まで飽きずに物語を楽しめた。明治時代の人々の暮らしぶりやサンカと呼ばれた民がいた事を知れたのも良かった。2020/01/05
takaya
16
一言で言って、とんでもないミステリー。あまりの突拍子のなさに笑ってしまいました。横溝正史ミステリ大賞受賞者らしい横溝風血縁関係のドロドロ、ダジャレともなんともつかない滑稽さ、そして奇想天外などというものを大きく超えた、ありえない設定。なんとも不思議なお話でした。 2021/05/24
あおさわ
11
南方先生の縦横無尽な活躍が楽しめました。哀しいお話ですが南方先生と太一の師弟関係が和ませてくれます。ミステリーとしては面白かったですが怪奇ものでは…ないですね。2010/10/28
みんと
9
横溝正史的ではあるが、全てにおいて中途半端で、盛り上がりに欠ける。 ミステリーの部類なのだろうが、すべってしまい、怖くもなく、唸らされるほどの謎解きもない。 途中、飽きてきてしまった。 登場人物に魅力がないのも原因のひつとだろう。 久しぶりに、はずれを引いてしまった気分だ。2011/12/03
-
- 和書
- 気分障害