内容説明
引きこもりの青年が出会った、武骨な電車整備士。消えゆく旧型車両と運命をともにしようとする男の背中を通して、仕事への愛と誇りを描き切る感動長編。ホームからは見えない電車の下半分。そこには、人の命を預かる車両整備に人生をかけて向き合う愚直なまでに一本気な男たちの姿があった。20年もの間、電車の整備に携わった異色の作家が己のすべてを注ぎ込んで綴った迫真の物語。
著者等紹介
山田深夜[ヤマダシンヤ]
1961年福島県須賀川市生まれ。地元の高校を卒業後、神奈川県横須賀市で私鉄職員として約20年勤務。1999年7月、文筆業に専念するために退職。バイク雑誌各誌に小説を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
16
電車の車両工場を舞台に繰り広げられる電車整備士たちの熱い物語です。直球勝負のこの本好きです!まさに縁の下の力持ち。プロの仕事ぶりをタップリ見せてもらいました。こういう一心に仕事に打ち込む人の話を待ってました!鉄オタの人もそうでない人でも十分楽しめます。これから社会に出ていく人、そして仕事にマンネリを感じている人には是非読んで欲しいです。それにしてもこの本、掘り出し物です!★★★★2010/07/10
ち~
9
安全に電車を走らせるため、心血を注いで仕事に打ち込む、私鉄電車の整備士達の熱いお話。無口で愛想なく、融通のきかない性格のため、嫌われやすい、その一方で、無骨だけど真面目で他人の気持ちを誰よりも思いやる赤城にとても惹かれる。引きこもりから脱出するため、この世界に入った純一。新型車両導入のため、古い車両が廃棄される現状。業績が悪く、さらに鉄道会社から無理難題を迫られる下請け会社社長。いろんなエピソードが満載でとても読み応えがありました。2014/07/14
白のヒメ
9
「電車屋」と呼ばれる、電車を修理する職人達の、武骨で不器用で、けれども真っ直ぐに生き抜く、熱い人間模様を描いた物語。中年なもので、読メに記録しているウン十倍も本を読んできたけれど、人情もので感動して琴線が震えて涙したのは、やはりこの電車屋と同じく、読メで知った「みをつくしシリーズ」のみ。いやー、良かったわ。泣いたわ。時代は確かに変わっていくし、この世の全ての物ってのは、時代と共に儚く消えていく定めなのだろう。けれど、綿々と受け継がれるものが一つだけある。それは「人の想い」だ。感動した。2013/06/16
kishikan
7
最初は雑な感じがしてしまうのだが、読み進めると引き込まれてしまう、これまで読んだ中ではちょっと変わった小説。電車の整備という裏方の話を通して、目立たないけど一本気な職人気質の男、そしてその仕事がメインの物語。舞台は横須賀、アメリカンに流れやすい街だけど、浪花節だよ。それと電車好きにはたまらないところもたくさんある、神奈川電鉄(京浜急行)というところがまたいいね2008/10/13
Nak34
6
最初は、くだらなかった。2番煎じの内容。ところが、第6章から、熱くなる。やられた。ブルースだ。電車の事に興味があれば、さらに、楽しめたはず。結局、いい本だった。ちくしょー、かっこいいじゃねえかぁ。アカギイめ。騙されたつもりで、まあ、読んでみな。(高飛車な言葉になってますが、そんな感想なんです。)2010/06/06