内容説明
箱に納められた左手首には古い傷が無数に残り、指がない。その指は手首が切断される何年も前から少しずつ切り落とされていた。次々と現れる人体の一部。その近くにいる者は、抗いがたい望みを抱く。「欲望は伝播するんだよ」と言って老刑事は闇へと消えた。そして―。日本ホラー小説大賞からデビュー、2006年江戸川乱歩賞受賞の新鋭による、世界を揺るがす驚愕のホラー文学。
著者等紹介
早瀬乱[ハヤセラン]
1963年大阪生まれ。作家。『レテの支流』で第11回日本ホラー小説大賞長編賞佳作受賞。『三年坂火の夢』で第52回江戸川乱歩賞受賞作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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深海魚
4
展開が地味でテンポもあまり良くないけど、話は面白かった。しかし何かが足りない。おそらく『異常さ』が。物語でもキャラクターでも、あるいは作者にでもいいから、常人には無い『ズレ』がなくてはミステリやホラーは退屈なものになってしまう。そこが少し残念。あと、誤植が何箇所かあったのも残念。2011/05/18
すすぎ
3
リスカを扱っている割に理解が浅く、行動療法も誤解されている様子。自傷は要素として必要なかったのでは。精神科疾患を題材にするならもう少し配慮が必要だと思う。そこらへんが不愉快でしたがストーリーには引き込まれました。2014/02/26
ちた
2
相当突飛な設定で途中正気に戻りそうになったりしましたが、最後まで走りきった筆力に感服。トンでもと紙一重ですが、私は嫌いじゃないです。2010/09/18
秋芳
1
格調高いホラー。 欲望の伝播という現象を受け入れることができたなら、おどろおどろしいホラー世界を堪能することができる。 物語の主格が順次移り変わっていく構成のため、キャラクターへの感情移入度は低い。一方で、物語り全体を俯瞰する神の視点を愉しむことが出来る。 聖書「ヨブ記」や「サロメ」の引用なども、重厚かつ重苦しい硬派なホラー小説の形成に一役買っている。2007/03/18
かばえん
1
中盤までは現実離れし過ぎて期待せずに読んでいたが後半は以外にも引き込まれスピード感もあり面白く読み終えた。2015/06/01