内容説明
暴力団員の黒羽組の藤堂惣一郎は少年を車で轢いてしまう。明らかに死に至る事故。しかし少年は無傷で、記憶を失っていた。そのまま男の家で暮らすようになったその妖しいほどに美しい少年に、男は「穂」という名を与える。やがて少年の背に彫られた両目がない美しい無明龍の入れ墨に導かれるように、藤堂は彼の出自を辿り始めるが。不思議な力を持ち、世界に贖われた存在―少年と男の再生の物語。『マルドゥック・スクランブル』の冲方丁、珠玉のデビュー作。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年生まれ。早稲田大学中退。在学中の1996年に本書『黒い季節』が第1回スニーカー大賞金賞を受賞し、デビュー。その後2003年の『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞を受賞、「ベストSF2003」国内篇第1位に輝く。以降小説・コミック・ゲーム・アニメといったメディアを超えるエンタテインメントの多才な創り手として注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
えも
19
著者十代のデビュー作。ヤクザと異能の勢力が混在するシチュエーションにおいて「世の中の根元的な真実」を知る快感。殺戮の最中にすら静寂感を感じる筆力。そのカタルシスがたまらなく、何やら山田正紀の初期作品群を思い出してしまいます。さすがだ…2016/04/02
れいぽ
16
「天地明察」が178人待ちなので、本棚で目が合ったデビュー作を読んでみました。あとがきが面白いですね~(爆)この作品、漢和辞典を見ていてピンと来たものがあって,あちこちの神社仏閣をうろうろしてイメージを広げたそうです。密教?というかそっち系の造詣が自分には全くナイので漫画「孔雀王」を思い出しながら読破しました。18歳でこの世界観を練り上げたことに感服。高校生の頃ってこんな世界好きですよねぇ(「孔雀王」もその頃読んだw)一般受けは難しいと思いますがさすが賞をとった作品だなぁと思いました。2010/09/02
侑奈
12
ヤクザとSF、面白いストーリー! ただ難しい? 3割くらいよく分からぬままに読み終わった笑 けど、なんだか心が温まった 穂、かわいい(*´ω`*)2019/01/30
キーツ(Nob Arakawa)
12
十代でコレを書き上げている事が信じられないが早熟、天才などと言う安易な言葉で片付けたくは無いな。もちろん才能は溢れていたのであろう。そして若さとは目的達成の為にはどれだけでも時間と努力を懸けられるしまたその過程でどんどんスキルが上がっていくのが堪らなく心地よい本当に限られた季節でもあるのだ。また同時に若さ故に持て余す熱い想いが暴走しがちでもあるのだけれど僕らにとって幸いな事に冲方丁と言う人は文筆家として生きて行く道を選んでくれたのだ。そしてこの人は稀有な事に今でも限界疾走を続けている。心から感謝したい。 2016/04/20
虹色の魚
6
初めて冲方丁さん作品を読了。夢枕貘さんの「陰陽師」をもっと難しくして、現代にも絡めたような印象でした。壮大なスケールで描かれているものの氷山の一角しか語られていないので、補完するための知識や想像力を必要とされる。バトルをふっかけられているかのように感じた。万人ウケしない読み手を選ぶ作品。自分にもっと力があれば味わい尽くせたのかもしれないけど今の私には難しかった。こんな潜在力を秘めた作品を同い年の方が書いていることに圧倒的敗北感を味わった。2011/01/16
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