内容説明
おだやかな秋晴れの陽の匂いとともによみがえる、ほろ苦い恋とセイシュン。記憶の奥にしまい込んだ大切な「あの時」をたぐり寄せ、読む者すべての胸を焼き焦がす気鋭の会心短篇集。
著者等紹介
日向蓬[ヒナタヨモギ]
1969年、大阪府生まれ。2002年、「マゼンタ100」で第一回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。同作を収録した短編集『マゼンタ100』(角川文庫)は、女が心で濡れるエロス、と話題になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
41
過去と現在。子供のころの記憶とそれをつなぎ止める自分。そんな昭和の匂いがする6篇の短篇。ありきたりなのもあるにはあるが、「涙の匂い」や「三面鏡」はなかなか読ませます。2013/01/05
とろこ
12
ほのぼのした表紙とは一転、歯がゆさやニガさ、息苦しさが詰まっています。読み終えてまず思ったのは、「なぜあまり売れてないんだろう?」。日常の断片的でありながら、底にたまった澱のようなものをぬるっとすくったような何とも言えない読後感はかなり好印象です。6編の短編集だが、カラーもけっこう違っていて読みごたえがある。逆に言うと、出し尽くしてしまった感があるのか…2013/05/15
シャイン
7
私も匂いと記憶が強く結びついているので、感覚的にはとっても共感できた。「三面鏡」では祖母が持っていた鏡台の匂いを思い出せたし、何度か出てくるコールタールの匂いというのも今は嗅ぐことがないなと懐かしく思ったり。「トリガー」は心のすれ違いぶりが巧かった。2011/12/16
sumie
5
情景が浮かんでくるような文章が素敵ですね。読みやすかったです。ただ、ちょっとページをめくるのが辛い話もありましたが。昭和50年代を知らない年代の人が読むと、分かりにくい世界かもしれません。2011/04/13
THE WATERY
5
タイトル通り,匂いが印象的な短編集。少し読むのが辛かったんだけど,「トリガー」・「あたらしい朝」は良いです。2010/11/02
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- 和書
- 逆転の罠 角川文庫