内容説明
応化十六年。内戦下の日本。性的差別、人種問題、経済と宗教、それぞれが孕む矛盾のなかを生き抜いていく、少年少女の一大叙事詩。「裸者と裸者」に続く、書き下ろし最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宇宙猫
23
★★★★ 1人になった月田姉妹の椿子が主人公。首都圏では、常陸・パンプキン以外の組織の分裂・統合・消滅が激しく、それに伴って戦闘がおこり混沌とした戦いに飲み込まれていく。行動が無茶苦茶な椿子だが、自分たちはマフィアだと言い切り、ブレずに的確な状況判断を下していく様子はかっこよくすらある。平和な時代なら違った方向に発揮されただろう才能が、暴力を行使するのに使われるのは悲しい。D2023/07/10
Toshi
15
1作目と同じく下巻はパンプキンガールズ、但し、1人になった椿子が主人公。男性至上主義者「黒い旅団」との戦いが描かれる。LGBTQに関わる理念を巡っての対立は、漫画的ですらあるのだが、相変わらずの戦闘描写のディーテールとリアリティで、どんどん読ませてしまう。いよいよあと1巻。だが、この戦争に終わりは見えない。2023/06/09
duzzmundo
8
前回同様、下巻はパンプキン・ガールズの椿子の視点で物語は展開。黒い旅団が勢力を増し、女子たちはAKを握りしめて戦地を駆け抜けます。常陸軍、黒い旅団、我らが祖国、鉄兜団が入り乱れて、それぞれに大切なものも守るために覇権争いが続いていきます。内乱16年目でまったく収束が見えませんが、作者が他界してしまったので、次巻で未完で終わるそうです。おもしろいので、次巻まで読もうと思います。2025/04/20
Ai
5
マイノリティの集団の中にも、さらに思想が分かれ…、混乱を極める。ゲイというマイノリティであり、女性を差別し、過激な思想を持つ「黒い旅団」の隆盛がおもしろかった。極右思想やマイノリティの弾圧・解放は、今の日本に通じるものがある。打海さんが描いた内戦状態の日本は、未来につながる…?2017/01/04
愛迷もこ.
5
″おまえが罪を犯すなら、わたしも罪を犯そう″パンプキン・ガールズのテーゼが心に響いた。戦争に人道的も非人道的もない。いつも飄々としている椿子の戦争に私情を挟まず、ビジネスとして淡々と進める様は、賢明だが不安になる。彼女自身も死を恐れないし、誰のどんな死でも受け止めてしまうから。死様に意味を求めないから、今を楽しんで生きる。だから誰よりも強いのだろうか。2011/12/30
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