内容説明
北の伊達、南の北条とつばぜり合いを演じてきた弱小戦国大名・佐竹義宣は、豊臣秀吉の小田原攻めに馳せ参じ、将来を秀吉に賭けた。石田三成の支持のもと、一躍常陸の大大名にのし上がった義宣に、隣国を領した実力者・徳川家康は挟撃を警戒し、しきりに誼みを通じようと接近を図る。豊臣政権の存続こそが佐竹の安泰と見る義宣は、三成、上杉景勝の執政・直江兼続と盟約を結ぶが―。戦国の下剋上に耐え、徳川260年を生き抜き、戊辰戦争さえも東北で唯一新政府軍についた源氏名門の生き残り戦略。
著者等紹介
南原幹雄[ナンバラミキオ]
1938年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。73年、『女絵地獄』で第二十一回小説現代新人賞、81年、『闇と影の百年戦争』で第二回吉川英治文学新人賞、97年、『銭五の海』で第十七回日本文芸大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
23
△著者の武将伝は大谷吉継の時と同様贔屓の疋田推しながらあまり魅力を感じないという印象です。折角関東で著名な佐竹氏を取り上げるのならエピソードを深掘りした方が面白いのにと感じ少し残念でした。また描かれている内容からは律儀者とは思えませんでした。2025/04/05
あっこ
14
今まで読んだことがない武将だったので読んでみた。知らなかった事がたくさんあったので、よく知っている時代だけど、違う角度から物事が見れたようで新鮮だった。秋田に移ってからの義宣の歩みが描かれていたらなお良かったと思う。2014/08/02
山男777
5
戦国の武将「佐竹義宣」の立ち位置。歴史上そんなに出てこない。単品で取り上げた小説興味を持って読んだ。天下分け目の戦いで動かなかった数少ない武将の一人、常総国の土豪で関ヶ原後、家康によって今の東北日本海側の「秋田市」に国替え。明治維新まで存続したと。中央から辺鄙な地方へ、滅亡させられるよりいいと思って行ったんだろうな。面白いのは、薩長の東北領土変更の進軍で唯一薩長側に味方したと。ネット検索での話し。2014/08/18
メイロング
4
今まで知ろうともしなかった、徳川移封前の関東のお話。こういう時、南原さんの小説はうれしい。だが読み終わってみると、主人公より直江や三成といった、サイドの人物ばかり印象的なのはどういうわけ? 時々、現代的な言葉遣いをする義宣や地の分に軽い違和感あり。「毛虫の前たて」はお父さんのエピソードだったのかな。また「信長の野望」をプレイしたくなりました。2012/07/13
oguogu
3
着眼点は非常に良かったと思います。ただ、どうしても関ヶ原近辺の話が多く、目新しさがなかった。もう少し若りし頃の話が出てきた方が良かったような気がします。光成びいきも程があったので、何だかしらけた。2009/11/23