夜市

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  • サイズ B6判/ページ数 179p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048736510
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。

著者等紹介

恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京都生まれ。大学卒業後、様々な職業を経て、現在沖縄県在住。2005年、「夜市」で第12回日本ホラー小説大賞を受賞、デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サム・ミイラ

368
岬の入り口の森の中で開かれる夜市に行ってみませんか?何でも売っています。なぜか客は少なくとても静かな市。店主は勿論人間ではありません。でも注意して下さい。何か買わないとそこから出る事は出来ませんから。どうやらこの市は古道と繋がっているようです。古道は何処へも通じ貴方のすぐ横を通っているのかも知れません。この道を往く者は神であり物の怪であり死者。そして紛れ込んだ私達。幼い頃の郷愁。妄想が造り上げる恐怖。愛しさと悲しさ。大人になり忘れていく想いを呼び戻すような珠玉の二編。この物語を忘れる事はないでしょう。2018/02/25

風眠

338
第12回ホラー大賞受賞作、ホラーというよりも、妖しさと幻想漂うどこかもの哀しいダークファンタジーという雰囲気。表題作『夜市』と同時収録されている『風の古道』と、昔話のような、民話のような、そんな異界へ連れて行ってくれる。どちらの作品もご都合主義で物語を締めくくらず、物語の世界観を忠実に守った「その世界のルール」のようなものを生かした終わり方なので、何とも言えない切なさが余韻となって残る。そんな経験はしたことがないのに何故か身に覚えがあるようで・・・皮膚の下にそわそわと怖さが滑り込んでくるような物語。2012/11/09

kaizen@名古屋de朝活読書会

304
夜市という怪しげな市に行く裕司といずみ。何かを買わないと夜市から出られない。裕司は以前夜市に参加し,野球選手の器と弟を夜市で交換。最後に夜市は3度しか参加できないという制約を明かす。論理構成は美しい。恐い話で,人の嫌な面も露にする。全体としては,醜い話にはしていない。第12回日本ホラー小説大賞、受賞。選考委員は荒俣宏、高橋克彦、林真理子。最近、直木賞候補だったことを知る。2013/12/08

とろこ

286
「夜市」。面白かった。何らかの条件が揃った時だけ発生する夜市。そこでは、異形の者たちが店を開いている。幼い日、そこに迷い込んだ裕司は、ある才能を買う為に弟を売った。高校生になり、女友達と共に、再び夜市に行った裕司は、老紳士と出会い、危機を救われる。ラストは、生への執着をなくした裕司の自己満足だったのか、贖罪だったのか。「風の古道」。これも好き。夜市や古道のような世界は、きっと、私たちが日常だと思って暮らしている世界の、すぐ隣に存在しているのかもしれない。怖さと物悲しさと美しさが混在した世界観に魅了された。2017/04/23

文庫フリーク@灯れ松明の火

250
【学校コウモリ】 【永久放浪者】 【一つ目ゴリラ】の言葉に森見さんの『きつねのはなし』的な物語想像していたら、老紳士の正体と抜き身の刀にばっさり斬られた。鮮やかな切り口。表題作も好きだが『風の古道』の世界が圧倒的に魅了する。古道の旅人・レンは、なんとなくムーミンのスナフキンのイメージ。さらりと描かれる、ハッピーエンドにならない『私』とカズキの別れ。初の恒川光太郎さん。ホラー文庫のレーベルはそのままに、一般文芸書として角川文庫にも加えて欲しい。2010/10/19

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