内容説明
OL歴10年、ひとり暮らしの真紀。ただ歳を重ねてゆくだけの毎日。びゅうびゅうと寂しい音をたてる空洞が自分の中にある。そんなある日、七歳年下の男・透に出会った。「愛してる」と繰り返す透。躊躇し、おびえながらも、真紀は透へと一歩を踏み出そうとする。その矢先、彼女は、彼の抱える秘密を知ってしまった…。すれ違い、求め合う、ぎりぎりの極愛小説。
著者等紹介
小川内初枝[オガワウチハツエ]
1966年大阪生まれ。2002年『緊縛』にて太宰治賞受賞。抜きさしならぬ関係を日常の風景の中に描く期待の女性作家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
14
心の空洞を男で埋めながら、真紀は自分から連絡を取ることはしなかった。一度要求をしてしまえば際限がなくなる自分がわかっているから。感情に理由はないのかもしれないが、7つも年下の男に真剣に「愛してる。会いたい」と言われたらその理由を確かめたくもなる。理由もなく私が人に愛されるわけがない、愛される理由が欲しい。透が真紀を求める理由は単純で複雑なもので、真紀が透を愛するほど二人の終結が近づいていく。真紀がもう少しズルい女なら二股でも完結させない方法でもあったのに。7つの年齢差は年代によって大きく異なるのだろうな。2016/12/26
ばる
10
女が男をのりかえるときは無意識にずるい。2014/10/24
チェス
5
内容は結構凄いと思うけど、淡々と読めるし、イヤな感じもせず、主人公に肩入れしたくなっちゃう。 図書館本。2019/07/16
くらげ@
4
(☆☆☆☆)図書館でたまたま目に入り手にとった本。7歳年下の彼と付き合うことになった真紀。彼の秘密と彼女の空洞…。2013/03/20
くろり - しろくろりちよ
4
愛されたい、愛したい。でも方法が分からない。主人公が26歳の時から始まって、二人の恋人を持つ男と関係を続けながら迎える30代。かつて家庭教師をした教え子と出会い、「愛してる」と囁いてくれるその言葉に身を任せ、「あなたには私しかいないんだよ」と縛って安心する。でも、「私しかいない」は破綻して…。いつかの春、満開の桜の下で全裸で踊る老婆が、主人公の未来の姿なのかも知れない。ただ、愛して愛されたいだけなのに。2011/08/09