内容説明
清和源氏の流れを汲む貴種でありながら地方豪族のもとで育てられた源義仲は、上洛を夢見ていた。ある日、義仲のもとに「巴」と名乗る白拍子姿の女が現れる。武芸にすぐれた巴は女武者として義仲の軍に加わるが、その体に残る傷には平家一門への深い恨みが込められていた。わずかな手勢で平氏の大軍を破り、念願の上洛を果たした義仲であったが、非常な運命がもたらす二人の別れは目睫の間に迫っていた。源氏の貴種・木曽義仲と、側につき従う女武者・巴御前。二人の戦いと愛、そして転落を描く歴史快作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
10
最近の鈴木輝一郎が木曽義仲を描いたらこうなった、という一作かな。義仲が回りは敵だらけの中で本領を発揮するヒーローで、巴がテレパシーを使いこなすスーパーウーマンで、義仲の愛馬がこれまたテレパシーを使う牝馬。で、巴をかつて傷つけた悪の頭領が、相手を硬直させる特殊能力を持ったあのチビ、ときたもんだ。うむ、どうみてもこりゃあ歴史小説だけどSFですわん。なかなか面白い展開だと思ったけど、最後が決まっているだけにそこで唐突に終わっちゃったのがなんだか竜頭蛇尾。うーん、もやもやするな、これじゃ。2018/02/20
鴨の入れ首
5
【年間500冊読破】2004年刊。木曽義仲と巴御前の視点から源平合戦を描く歴史小説です。義仲を万能のヒーロー、巴御前を超能力者としてSF風に描いており、読んでてこれは読者によって好みが相当分かれるなと思いました。ストーリーに現実味がないので、歴史小説風SF物として読めば十分楽しめるのではないでしょうか。面白かったです。2025/02/23
さはらF
1
新しい木曽義仲の解釈だった気がします 粗野なかんじはしない良く出来た 頭領だったかな 巴も不思議な神通力を持つ女性(ものすごく強いです) として義仲と肩を並べ、源義経はクレイジーな悪役というかんじです 作者の特得なキャラクターの解釈が興味深かった2013/09/10
りらくま
0
★0巴御前に関心を持ち、彼女について書かれた作品を探していて出会った著書。とにかく内容が薄く、卑猥な描写が多いのが特徴。まず、SF小説であって歴史小説ではない。それを100歩譲って我慢したとしても、登場人物のキャラについての描写がない上に、ストーリー性もないため読んでいて疲れる。そしてその疲労感に追い討ちをかけるかのような卑猥な描写。時間とお金の無駄だった…ガッカリ。中古本屋さんに出しに行くガソリン代さえもったいないと思う一冊でした。2015/08/27
FK
0
木曽義仲が何とその愛馬と語り合い、また巴とも言葉を発することなく対話するというもの。歴史小説のはずがSFっぽい様相を呈するわけだ。/京都に入った義仲軍が乱暴狼藉略奪をしたということで非難されている。小説ではその背景が紹介されており、納得させられるものがあった。つまりその食料調達方法である。現地調達という名の略奪であった。戦いに勝てば女性を襲い、物資を略奪するのはいわば勝者の当然の権利だというわけだ。食うや食わずでやってきた軍隊の恐ろしさは想像に絶するものがあっただろう。 2005/04/16