疾走

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  • サイズ B6判/ページ数 492p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784048734851
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

犯罪へとひた走る14歳の孤独な魂を描いて読む者を圧倒する現代の黙示録!「どうして、にんげんは死ぬの?」
舌足らずなおまえの声が言う「にんげん」は、漢字の「人間」とも片仮名の「ニンゲン」とも違って、
とてもやわらかだった。そのくせ「死ぬ」は輪郭がくっきりとして、おとなが言う「死ぬ」のような照れやごまかしなどいっさいなく、
まっすぐに、耳なのか胸なのか、とにかくまっすぐに、奥深くまで、届く――。

想像を絶する孤独のなか、ただ、他人とつながりたい……それだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた一人の少年。
現代日本に出現した奇跡の衝撃作!

重松 清[シゲマツ キヨシ]
著・文・その他

鈴木成一デザイン室[スズキセイイチデザインシツ]
著・文・その他/イラスト

内容説明

剥き出しの「人間」どもの営みと、苛烈を生き抜いた少年の軌跡―。比類なき感動の結末が待ち受ける、現代の黙示録。重松清、畢生の1100枚。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みも

64
動揺…震撼…絶句…そして僕は、崩壊しそうな理性に懸命にしがみ付く。読後はしばし呆然…そして滂沱。聖書を効果的に引用しながら非常に短いセンテンスを駆使し、主人公を俯瞰で見る回想。そこには悲哀を越えた、語り手の虚無感や無力感が滲む。14歳の肥大する妄想…現実の矮小化…希望の唾棄と止みがたい歔欷。神の救いも無い「ひとり」の生き地獄。無装飾のシンプルな語彙を幾度も幾度も繰り返す。それはあたかも、荒々しく絵の具を重ねて絶望の深層を表出させた一幅の絵画。苛めと性的暴虐描写が陰惨だが、魂を揺さぶらずにはおかない衝撃作。2018/03/28

pdango

62
★★★★★「ひとり」について、絶望のなかで生きていくことについて考えさせられる重い話だった。「ふたりでいてもひとりとひとりだから、ほんとうは、ひとつのふたりになりたいんだ」に激しく共感。2019/07/21

ちぐ

50
うぉぉ、一気読みしてしまった…。この救いようもない読後感は東野圭吾さんの「白夜行」に似てると思った。きっと読むタイミングによっては、この重さを引きずってしまうかもしれない。それくらい絶望に包まれてしまうストーリーだった。人間は「ひとり」を背負って生きていて、孤独、孤立、孤高なんて言葉もあるけど、「ひとり」も誰かと繋がれば、強い「ひとり」にもなれるんだよってメッセージが込められているようにも感じた。2016/03/28

イチ

45
重松さん10冊目。装丁が衝撃的で手が伸びなかった作品の一つ。多くのレビュー通り読み進める事が苦痛になる重さである。どこにもある普通の家庭が一つの狂いから雪崩のように崩壊していく様。更に庇護するべき大人の不甲斐なさ、一身に全てを背負うシュウジの過酷な運命はまさに煉獄。救いのない物語ははっきり言って胸糞悪い。が、絶望の中でも15年の人生を疾走の如く走り抜けたシュウジから目が離せなかった。再読する気力は持てないしオススメも出来ないが、素晴らしい作品である事は間違いない。2019/04/18

mmts(マミタス)

42
自分勝手な大人ばっかりだと思いました。教師は家族じゃないし、そんなに良心的に援助する必要はないけど。さすがにシュウジが進学しない理由くらいは、ちょっとした気遣いは必要かと。個人的には折角、アカネやミユキが罪を背負ってくれたし、このままエリと結ばれた方が良かったような。アカネとシュウジの子供は将来、生きにくいのでは。家族に振り回されたシュウジからすれば、その辺は分かるような。神父さんが教えるつもりだけで、まだまだ結論は分かりませんけど。テツオは結局、行方不明かしら。さすがに不憫になりました。2015/05/31

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