内容説明
時に戦雲が天を覆う春秋時代前期、「管鮑の交わり」として名高い管仲と鮑叔は周の都で出会う。以後、ふたりは異なる性格ながらも互いを認め、ともに中原の沃野を駆け抜けていく。しかし、時代はまだこのふたりの天才を知らなかった―。のちに、思想家、為政者として卓越した能力を発揮し、理想の宰相と称された管仲の生涯と、彼を支えた人物群像を余すところなく描いた、渾身の歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キジネコ
37
富家の英才、陽の鮑叔と斜陽の貧家、陰の管仲「管鮑の交わり」の原義の物語。どの様にして二人が出会い、どの様に友情が堅く結びついたのか?そして春秋時代、斉の桓公がどの様にして覇者となるか?その始まりが描かれる上巻。二度目の読了ですが宮城谷さんの御話のなかで主人公の顔よりも周りに描かれた人々の力強さが際立って感想らしい感想が書けません。前回も同様であったと思います。題名に「管鮑」の名が冠されなければ、全く違った印象を自由にもてたのではないか?と感じてしまいました。春秋の他の物語の印象が集中を邪魔したします。2024/04/30
ミネ吉
15
「管鮑の交わり」で有名な(と言ってもこの小説で初めて知ったけど)春秋時代の斉の名宰相・管仲を描く歴史小説。前半は管仲が世に出る前の不遇時代と、管仲の才を信じて何かと援助する鮑叔が描かれる。歴史小説ではあるものの、管仲のネガティブ思考がじっくり丁寧に描かれており、ちょっと気が滅入る笑。鮑叔の存在がなければ管仲は世に出ることはなかったのだろうな。下巻へ。2024/07/15
星落秋風五丈原
13
最初に現れた管仲はかわいくなかった。 宮城谷作品「売られた宰相」では、有能な百里奚の就職を阻み、「侠骨記」 では、優位に立った魯との会合で、国を思う男・曹かいの単身の侠気の前に、自らと君主・桓公に刃を突きつけられる醜態を曝す。とても冷たい人間に思えての同情心や共感が湧いてこなかった。 冒頭に登場する管仲は、遊学に来たばかりの 気のいい貴族の坊ちゃん・鮑叔に、宿を世話する。「親切な人」と思うがちゃっかりと手数料を取っていた。やがて管仲もまた、自らを窮地に陥れた男を自分の部下にし、「許す」側の人となる。2003/05/02
KIWA
8
なかなか馴染みの少ない春秋戦国時代。管仲と鮑叔の交わりを描く。どちらかというと、題名となった管仲より、鮑叔の方に魅力を感じる上巻でした。陰と陽ならば、やはり陽の方に魅力を感じてしまうのは仕方ない。しかしこれからどのような展開になるんだろうか、全く知らない時代なので、楽しみです。2024/09/29
ごんちゃん
5
管仲・楽毅と言えば、三国志で名前だけ見かける人。諸葛孔明と比較される偉人らしいけど、何やった人なの?ってことで読んだ。上巻は管仲、若かりし頃の苦労話っていうか、家族や女性問題にウジウジ悩んでるだけのような気も。全く活躍しまへんな。下巻へ期待。2015/10/03
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