内容説明
昭和初期。オカルト、猟奇事件、右傾化が吹き荒れる東京。歌人にして民俗学者の折口信夫は偶然に、しかし魅入られるように古書店「八坂堂」に迷い込む。奇怪な仮面で素顔を隠した主人は木島平八郎と名乗り、信じられないような自らの素性を語りだした。以来、折口の周りには奇妙な人、出来事が憑き物のように集まり始める…。ロンギヌスの槍、未来予測計算機、偽天皇、記憶する水、ユダヤ人満州移住計画―昭和の闇を跋扈するあってはならない物語。民俗学者・折口信夫の名を騙る仮面の古書店主・木島平八郎が偽史の時代を“仕分け”する。超民俗学伝奇小説の傑作、登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ettyan えっちゃん
6
ひねくれた登場人物と壊れた登場人物しかいないし、そもそも日記が偽書で、誰が書いたのかわからないというひねくれ具合。まあ、仕方ない、作者のあとがきでも、編集に礼はしないとか、すべてがひねくれていて、すかしている。これが、90年代には受けたのだろうなあと思いながら読むが、楽しいなあ、本当に楽しい。この時代観2024/12/31
金平糖
2
B。2021/11/18
No.7
2
表紙と「オカルト民俗学」という煽りに釣られて読みました。最初は取っつきにくいかなぁと思いましたが、読み進んでみたら主要登場人物たちが一話完結型で怪しげな事件に立ち向かっていくという感じのポップなキャラクター小説?反魂の術、人魚の肉、偽天皇、ヒトラーの出生…戦前の眉唾ものがたりのオンパレードでワクワクできました。2020/06/12
小倉あずき
2
マンガは刊行当時読み耽ったので懐かしいというのが第一印象。「マンガ原作者がマンガを更にノベライズする」という構造が作中の折口信夫や柳田國男の皮肉れ具合に呼応している気がする。2020/02/16
学級ぶんこ
2
手元本。予備知識なく、表紙に惹かれて購入。予想とは違う内容だったけれど、好きなジャンルの小説だった。実在した人物を登場させて、民俗学や神話(?)を絡めながらの摩訶不思議な物語はすごく楽しめた。軽いしぐいぐい進むので、そう知識がなくてもあっさり読めるのではないだろうか。2017/07/06