内容説明
幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人―サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?!都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
68
いわゆる「新婚さんごっこ」検証で再読。といっても単行本はこれが初読。ていうか最初は上下巻分冊の角川ビーンズ文庫で読んでいたのだが、挿絵に耐え切れず(量もさることながら絵そのものに)図書館本に切り替えた。邪な目的で読んだので肝心な本筋を追うのが疎かになってほとんど頭に残らなかったではないか。ま、いいけど・・・2014/10/27
純
46
ドラマを観る前に読んでおけば良かった、と少し後悔。容疑者が出てきては消え、出てきては消え…を繰り返した。面白かった。2016/02/14
ホームズ
37
事件そのものは何回読んでも突っ込みどころがあったりでそれなりという感じ。しかし犯行は結構大胆だな~。その状況で殺人を犯すのは結構賭けなのでは?事件よりも火村とアリスの新婚ごっことかアリスの隣人・真野さんとの関係が気になってしまう(笑)まあシリーズの中でも気になる関係の2つですから仕方ないかな(笑)2013/05/26
雪紫
31
再読。ダリの影響を受けた宝石会社社長の死に関わる不可解な謎を綺麗に解きほぐす良作。ダリが好きになればより楽しめる(合間に作品を調べたりなどで)。ドラマ版で悔しくもカットされた冒頭やラストシーン、発端の動機に関わる真意には再読でもやっぱりそそられる。あの文章が良い。なお、ドラマ版でも冒頭の食事シーンはカットされてない(笑)。あれは本当に新婚ごっこだ。2020/04/25
tokkun1002
30
作家アリス2作目。1993年。シンプルな事件と思いきや解明の難しさからよませない編み込まれた作品です。ダリも学べるし。学生アリスと比較してみると、謎解き役の火村氏が抜き出たチカラを持っていない点が浮きあがります。作風も読者と一緒にという感じではありません。今後に期待。疲れたので、読後は爽快感というより疲労感が残りましたな。2013/09/27