出版社内容情報
一九一一年、上海。服役中の刑務所で暗殺者に命を狙われた日本人詐欺師、伊沢修は、同房の中国人、関に助けられる。その夜、伊沢は革命家である関からある計画への協力を要請された。それは、革命のための武器の調達、それも、騙し、奪い取る。そのターゲットは日本陸軍参謀次長―。暗殺者から身を守ることを交換条件としてこの企てに加担した伊沢は、刑務所を抜け出し、執拗な暗殺者の追走を受けつつ、関たちとともに壮大な計画を進めていく。騙し騙されるサスペンスフルなコン・ゲームとスピード感、全選考委員の大絶賛を受けて第一九回横溝正史賞を受賞した超大作。
内容説明
騙す、騙される、また欺く。広大な大陸と海原を貫き、歴史の時を刻もうとした、疾走する情熱、凄絶な正体。革命という熱病にうなされる怪男児―。第19回横溝正史賞正賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Syo
15
これは、凄い。 けど、既読かも。 スケールが違うねぇ。 1905年のロシアの革命に 辛亥革命前夜ですか。 そこに詐欺師がいて…。2016/10/10
ゆみねこ
4
明治時代の中国と日本が舞台。清王朝を倒し革命を起こそうとする勢力と彼らに手を貸すことになったペテン師井沢修。陸軍の大物を相手に一世一代の詐欺行為を働くが…。スケールも大きく、実在の人物が多々登場し一気に読みこめました。2011/08/03
tanta
2
こんなにおもしろい本だと思わなかった!大当たり。しかも作者はこれがデビュー作とは。私好みの中国清朝末期と明治のお話。秋田犬の武丸のおとぼけぶりもかわいくてユーモアたっぷり。夢中で読んだ・・・はずなのに、お腹の中のチビ子のせいか眠くてたまらず。2013/06/14
nemuo
1
横溝正史賞受賞作。中国、日本を舞台にした明治時代の革命前夜の騙し騙されのコンゲーム。デビュー作とは思えないほど人物描写や情景設定が巧みでスケールは大きいが地に足のついた作品になっている。主人公は日本人詐欺師だが、その他登場人物は中国人革命家だったり、韓国人の殺し屋だったり結構入り乱れている。終盤では誰が誰をだましているのか分からないくらいの状況で緊迫感も良く伝わってくる。犬の武丸とかいい具合にユーモアも交えることで重たくなり過ぎないもの良かった。他の作品もぜひ読んでみたい。2021/08/27
詩界 -うたか-
1
デビュー作。中国で巻き起こる大正時代のお話。日本人の詐欺師である主人公たちのお話。騙し、騙され、そして騙す。まるで映画を見ているようなエンターテインメント作品でした。特に塔みたいな場所でのアクションシーン等本当に映画みたいでワクワクして楽しかった。 伊沢がなよっとしているのが気になるけれどなんども読み直した大好きな作品の一つです。 映画化されたけど、小説の映画にしたら良い所やアクションシーンがひとつもないし、日本人で固めたキャストで本来の良さがひとつも無く醒めたので映画は見ない方が良いです。